前回はラプラス変換を用いた斉次線形微分方程式を扱った。 ここでは例題を通して非斉次の線形微分方程式を解いていく。 例題(1)は斉次、(2)(3)(4)は非斉次の微分方程式である。
次の に関する微分方程式を解け。 ただし初期値は , とする。
1. 基礎事項について
を使うため、 これらの内容が不十分であれば一度戻って復習しないといけない。
2. 例題の解答
ラプラス変換による微分方程式の解法は、 まず微分方程式をラプラス変換するところから始める。
以下では、求める のラプラス変換を とする。 初期値は , である。
例題(1)の解答
(1)で表された斉次の線形微分方程式(単振動の運動方程式など)を解いていく。
【解答】
微分方程式の両辺をラプラス変換する。微分のラプラス変換を用いて、
となる。
解を と書けば、単振動を表すことがわかる( は初期位相)。
例題(2)の解答
(2)は非斉次の線形微分方程式であり、(強制振動の運動方程式など)を表す。
【解答】
微分方程式の両辺をラプラス変換する。 微分のラプラス変換と のラプラス変換を用いる。 このとき左辺は例題(1)と同様の形になる。
ここで、第3項について部分分数分解
を用いて、
を得る。これをラプラス逆変換して微分方程式の解を得る。
ここで、 は例題(1)の解と同じ形の斉次解である (初期値を同じにしたため の係数が異なる)。 は特殊解を表す。 非斉次微分方程式の一般解は、(斉次解)+(特殊解)の形になる。 例題(2)で初期値が与えられていない場合の一般解は、
となる。
例題(3)の解答
例題(2)と似ているがどうだろうか。
【解答】
微分方程式の両辺をラプラス変換する。
ここで、第3項について部分分数分解する。 と因数分解して
と置き、係数 を求めると、
である。したがって、
ここで「移動」によるラプラス逆変換:
を用いて、
したがって、
をラプラス逆変換して微分方程式の解を得る。
※解は が大きくなると第三項により振動の振幅が増幅する。 もともとの微分方程式の左辺は単振動の運動方程式であり、 右辺を時間 で振動する外力とみると、 外力の振動数と元の単振動の振動数が一致している。 これは「共鳴」であり、振幅が増幅していることに対応する。
例題(4)の解答
【解答】
微分方程式の両辺をラプラス変換する
第一項について:
を利用して
第二項について:
したがって、
「移動」および のラプラス逆変換により
*第一項と第二項は の形の減衰振動を表す。 第三項は強制振動による振動運動を表している。
まとめ
ここでは非斉次の微分方程式をラプラス変換により解いてきた。 方程式の形として単振動や強制振動の形を扱った。ラプラス変換の応用として微分方程式を解いてきたが、本例題はよくある方法でも解くことができる。