リカッチ(リカティ、Riccati)の微分方程式は
の形をしている。一般的には解けないが、 1つの特解 がわかっているときは とおくことでベルヌーイの微分方程式に帰着して解ける。ベルヌーイ型は線形型に帰着するため
リカッチ型 → ベルヌーイ型 → 線形型
のようにより簡単な微分方程式に帰着させて解く。 ここでは例題を通して、リカッチ型の解法を習得しよう。
以下のリカッチの微分方程式の特解を見つけて解こう。
目次
1. リカッチの微分方程式の解き方
特殊なタイプの微分方程式は、「解けるタイプの微分方程式」に帰着させて解く。リカッチ型はベルヌーイ型に帰着される。
ベルヌーイの微分方程式とは?
もしベルヌーイ型の微分方程式の形とその解法がわからなければ、先にそちらを習得するべきである。ここでは簡単に、ベルヌーイ型の微分方程式をまとめておく。
ベルヌーイ型:
で により以下の「線形型」に帰着する。
線形型:
ベルヌーイ型に帰着することを確認
リカッチの微分方程式
の特解の一つを とする。つまり、
である。
リカッチ型の解の形を と置く。 より微分方程式は、
(*)より、青色の部分は消えるため、
となる。これは、 に関するベルヌーイ型の微分方程式である。 確かにリカッチ型はベルヌーイ型に帰着する。
リカッチの微分方程式の一般解
上のベルヌーイ型を解く。
より、ベルヌーイ型(*)’の両辺に をかける。
となり、線形型に帰着する。
したがって、両辺に
をかけて、
以上より、
したがって、リカッチ型の一般解は
である。当たり前だが、これは覚える式ではない。
解き方の流れまとめ
リカッチ型を解くための前提は
- 特解が見つけられる
- ベルヌーイ型が解ける
- 線形型が解ける(ベルヌーイ型は線形型に帰着するため)
リカッチの微分方程式
は特解 が分かれば、以下の流れで解くことができる。
- 特解 を見つける
- 解を とおくと に関してベルヌーイの微分方程式になる
- とおいて線形型に帰着させる(ベルヌーイの微分方程式の解法)
- 線形型を解いて を求める(1次線形型微分方程式の解法)
- と変数を戻す
2. 例題の解答
以下の解答で、 は定数である。 (1)は変数分離型でも解ける。
例題(1)の解答
特解を探す:
の特解の一つは
である。
と置く:
より
のベルヌーイ型(あるいは変数分離型)。 ここでは練習のため、ベルヌーイ型として解く。
と置く:
より、(*)の両辺に をかけて
の線形型(あるいは変数分離型)になる。
両辺にかけるもの:
両辺に をかける:
:
*答え方は定数項 の取り方で変わる。 以下のような形でもよい。
例題(2)の解答
はリカッチ型で、特解の一つは である。 つまり、
が成り立つ。
と置く:
より
したがって、
のベルヌーイ型に帰着する。
と置く:
より、ベルヌーイ型の両辺に をかけて
の線形型に帰着する。
両辺にかけるもの:
線形型の両辺に をかける:
したがって
:
3. まとめ
リカッチの微分方程式の解き方を学んだ。特解を見つけてから
リカッチ型 → ベルヌーイ型 → 線形型
と帰着させることで解けることがわかった。 ポイントである、 の置き方だけ覚えておけば良いだろう。