以下のベルヌーイ型と呼ばれる微分方程式(Bernoulli differential equation)の解法を説明する。 特徴は、左辺は線形型に見えるが右辺に が含まれることである。
このタイプは とおけば線形型に帰着して解くことができる。 解き方を学び、例題を使ってベルヌーイ型を攻略しよう。
1. ベルヌーイ型の構造
について とおけば解ける理由やその発想の経緯を追っていこう。 ここは、「とにかく問題だけ解ければ良い」という方は飛ばしてもらって良い。
線形型に帰着することを確認する
によってベルヌーイ型は線形型に帰着する。
このことを確かめておこう。
両辺を微分して
となる。したがって、 を作るために もとの微分方程式の両辺に
をかける。
たしかに線形型に帰着する。これの一般解は
であった。これを覚えてはならないという話は、以前で説明した通りである。 覚えてもどうせ間違うので、線形型の一般解は導けるようにしておくべきである。
* に直すためには
としておけば良い。
この変数変換はどこから?
の変換がどこからやってきたかを簡単に説明しておく。
について、 のときは線形型なので解くことができる。
ベルヌーイ型 → 線形型
とするために、じゃまになっているのは である。 なんとか適当な変数変換により
を消してしまいたいのである。
の形でうまくいくかチェックしよう。
つまりこの変数変換により、「線形型」や「変数分離型」などよく知られたパターンに落とし込めるかを考える。
であるため、
微分方程式の両辺に をかけて
となる。
左辺が線形型に似ているものの、右辺に があり線形ではない。したがって、右辺の
を消すために
とすればよい。このように をおくと、右辺の
は消えて微分方程式は線形型に帰着するのである。
そういうわけで とおけば良い。
解法まとめ
ベルヌーイ型の微分方程式が解けるかどうかは、初めの変数変換の仕方を覚えているかどうかで決まる。以下、ベルヌーイ型の解法をまとめておく。
ベルヌーイ型の微分方程式
などの形なら
の形にしておく
とおく
- 上を両辺を
で微分:
- 微分方程式の両辺に
をかけて、
をつくる
- 線形型に帰着するため、
に関する微分方程式を解く
によって
の形に直す
2. 例題の解答
以下、 は定数である。 線形型を解くときは「公式を覚えず解く1次線形型微分方程式」の流れで解いている。 各自自分の方法が解きやすい方法で解くのが良い。
例題(1)の解答
のベルヌーイ型。
とおき、微分する。
をつくるため、微分方程式の両辺に
をかける:
の線形型に帰着する。 次に、線形型を解いていく。
両辺にかけるもの:
微分方程式の両辺に をかける:
の形にもどす:
*答えは下の形でもよい。
例題(2)の解答
を変形して
のベルヌーイ型である。
とおき、微分する。
をつくるため、微分方程式の両辺に
をかける:
の線形型に帰着する。
次に、線形型を解いていく。
両辺にかけるもの:
微分方程式の両辺に をかける:
の形にもどす:
* 答えは下の形でも良い。
例題(3)の解答
のベルヌーイ型。
とおき、微分する。
をつくるため、微分方程式の両辺に
をかける:
の線形型に帰着する。
次に、線形型を解いていく。
両辺にかけるもの:
微分方程式の両辺に をかける:
の形にもどす:
* 答えは下の形でも良い。
3. まとめ
ベルヌーイ型の微分方程式を解いてきた。 の置き方さえマスターしておけば、あとはなんとでもなるだろう。 線形型に帰着するため、線形型の微分方程式の解き方は習得しておかなければならない。