【微分方程式】例題で学ぶ:ベルヌーイ型の解法


 以下のベルヌーイ型と呼ばれる微分方程式(Bernoulli differential equation)の解法を説明する。 特徴は、左辺は線形型に見えるが右辺に y^n が含まれることである。

    \begin{eqnarray*} y'+P(x)y=Q(x)y^n\quad(n\neq 0,1) \end{eqnarray*}

 このタイプは z=y^{1-n} とおけば線形型に帰着して解くことができる。 解き方を学び、例題を使ってベルヌーイ型を攻略しよう。

ベルヌーイ型の例題

    \begin{eqnarray*} (1)\quad&&y'+\frac{2}{x}y=-x^2y^5\\ (2)\quad&&xy'+y=x^4y^3\\ (3)\quad&&y'+\frac{2}{x}y=x^2\sin  x \cdot y^2 \end{eqnarray*}




1. ベルヌーイ型の構造

    \begin{eqnarray*} y'+P(x)y=Q(x)y^n\quad(n\neq0,1) \end{eqnarray*}

について z=y^{1-n} とおけば解ける理由やその発想の経緯を追っていこう。 ここは、「とにかく問題だけ解ければ良い」という方は飛ばしてもらって良い。


線形型に帰着することを確認する

ポイント

z=y^{1-n} によってベルヌーイ型は線形型に帰着する。

このことを確かめておこう。


 両辺を微分して

    \begin{eqnarray*} z'=\textcolor{blue}{(1-n)y^{-n}}y' \end{eqnarray*}

となる。したがって、z' を作るために もとの微分方程式の両辺に \textcolor{blue}{(1-n)y^{-n}} をかける。

    \begin{eqnarray*} \textcolor{blue}{(1-n)y^{-n}}y'+\textcolor{blue}{(1-n)y^{-n}}P(x)y &=&\textcolor{blue}{(1-n)y^{-n}}Q(x)y^n\\\\&=&(1-n)Q(x)\\\\ \Leftrightarrow \quad z'+(1-n)P(x)z&=&Q(x)(1-n) \end{eqnarray*}


たしかに線形型に帰着する。これの一般解は

    \begin{eqnarray*} z=e^{-\int (1-n)P(x)\, dx}\left\{ \int (1-n)Q(x)\, e^{\int (1-n)P(x)\, dx} \, dx +C\right\} \end{eqnarray*}

であった。これを覚えてはならないという話は、以前で説明した通りである。 覚えてもどうせ間違うので、線形型の一般解は導けるようにしておくべきである。



* y に直すためには

    \begin{eqnarray*} y=z^{\frac{1}{1-n}} \end{eqnarray*}

としておけば良い。


この変数変換はどこから?

z=y^{1-n} の変換がどこからやってきたかを簡単に説明しておく。


    \begin{eqnarray*} y'+P(x)y=Q(x)y^n \end{eqnarray*}

について、n=0,1 のときは線形型なので解くことができる。

ベルヌーイ型 → 線形型

とするために、じゃまになっているのは y^n である。 なんとか適当な変数変換により y^n を消してしまいたいのである。


z=y^\alpha の形でうまくいくかチェックしよう。 つまりこの変数変換により、「線形型」や「変数分離型」などよく知られたパターンに落とし込めるかを考える。


    \begin{eqnarray*} z'=\textcolor{blue}{\alpha y^{1-\alpha}}y' \end{eqnarray*}

であるため、 微分方程式の両辺に \textcolor{blue}{\alpha y^{1-\alpha}} をかけて

    \begin{eqnarray*} \textcolor{blue}{\alpha y^{1-\alpha}}y'+P(x)\textcolor{blue}{\alpha y^{1-\alpha}} y&=&Q(x)\textcolor{blue}{\alpha y^{1-\alpha}} y^n\\\\ z'+\alpha P(x)z&=&\alpha Q(x) z^{\frac{n+\alpha-1}{\alpha}} \end{eqnarray*}

となる。


左辺が線形型に似ているものの、右辺に z^{\frac{n+\alpha-1}{\alpha}} があり線形ではない。したがって、右辺の z を消すために

    \begin{eqnarray*} \frac{n+\alpha-1}{\alpha}=0\quad\Leftrightarrow \quad \alpha=\textcolor{red}{1-n} \end{eqnarray*}

とすればよい。このように \alpha をおくと、右辺の z は消えて微分方程式は線形型に帰着するのである。


そういうわけで z=y^{\alpha}=y^{1-n} とおけば良い。


解法まとめ

 ベルヌーイ型の微分方程式が解けるかどうかは、初めの変数変換の仕方を覚えているかどうかで決まる。以下、ベルヌーイ型の解法をまとめておく。

ポイント


ベルヌーイ型の微分方程式

    \begin{eqnarray*} y'+P(x)y=Q(x)y^n \end{eqnarray*}

の解法の流れは以下の通り。

  1. xy'+\cdots などの形なら y' の形にしておく
  2. z=y^{1-n} とおく
  3. 上を両辺を x で微分:z'=\textcolor{blue}{(1-n)y^{-n}}y'
  4. 微分方程式の両辺に \textcolor{blue}{(1-n)y^{-n}} をかけて、z' をつくる
  5. 線形型に帰着するため、z に関する微分方程式を解く
  6. y=z^{\frac{1}{1-n}} によって y の形に直す



2. 例題の解答

 以下、C は定数である。 線形型を解くときは「公式を覚えず解く1次線形型微分方程式」の流れで解いている。 各自自分の方法が解きやすい方法で解くのが良い。


例題(1)の解答

    \begin{eqnarray*} y'+\frac{2}{x} y=-x^2 y^{\textcolor{red}{5}} \end{eqnarray*}

のベルヌーイ型。

z=y^{1-\textcolor{red}{5}}=y^{-4} とおき、微分する。

    \begin{eqnarray*} z'=-4y^{-5}y' \end{eqnarray*}


z' をつくるため、微分方程式の両辺に \textcolor{blue}{-4y^{-5}} をかける:

    \begin{eqnarray*} &&\textcolor{blue}{-4y^{-5}}y'+\frac{2}{x}\left(\textcolor{blue}{-4y^{-5}}\right)y=-x^2\left(\textcolor{blue}{-4y^{-5}}\right)y^{5}\\\\ \Leftrightarrow \quad&& z'-\frac{8}{x}z=4x^2 \end{eqnarray*}

の線形型に帰着する。 次に、線形型を解いていく。


両辺にかけるもの:

    \begin{eqnarray*} e^{\int -\frac{8}{x}\, dx}=e^{-8\log|x|+C}\quad\rightarrow \quad \frac{1}{x^8} \end{eqnarray*}


微分方程式の両辺に \frac{1}{x^8} をかける:

    \begin{eqnarray*} &&\frac{1}{x^8}z'-\frac{8}{x^9}z=\frac{4}{x^6}\\\\ \Leftrightarrow \quad&&\frac{d}{dx}\left[\frac{z}{x^8}\right]=\frac{4}{x^6}\\\\ \Leftrightarrow \quad&& \frac{z}{x^8}=\int \frac{4}{x^6}\,dx=-\frac{4}{5}x^{-5}+C\\\\ \Leftrightarrow \quad&& z=-\frac{4}{5}x^3+Cx^8 \end{eqnarray*}


y の形にもどす:

    \begin{eqnarray*} y=z^{-\frac{1}{4}}=\left(-\frac{4}{5}x^3+Cx^8\right)^{-\frac{1}{4}}\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


*答えは下の形でもよい。

    \begin{eqnarray*} \frac{1}{y^4}=-\frac{4}{5}x^3+Cx^8\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


例題(2)の解答

    \begin{eqnarray*} xy'+y=x^4y^3 \end{eqnarray*}

を変形して

    \begin{eqnarray*} y'+\frac{1}{x}y=x^3y^{\textcolor{red}{3}} \end{eqnarray*}

のベルヌーイ型である。

z=y^{1-\textcolor{red}{3}}=y^{-2} とおき、微分する。

    \begin{eqnarray*} z'=-2y^{-3}y' \end{eqnarray*}


z' をつくるため、微分方程式の両辺に \textcolor{blue}{-2y^{-3}} をかける:

    \begin{eqnarray*} &&\textcolor{blue}{-2y^{-3}}y'+ \frac{1}{x}\left(\textcolor{blue}{-2y^{-3}}\right)y= x^3\left(\textcolor{blue}{-2y^{-3}}\right)y^{3}\\\\ \Leftrightarrow \quad&& z'-\frac{2}{x}z=-2x^3 \end{eqnarray*}

の線形型に帰着する。


次に、線形型を解いていく。

両辺にかけるもの:

    \begin{eqnarray*} e^{\int -\frac{2}{x}\, dx}=e^{-2\log|x|+C}\quad\rightarrow \quad \frac{1}{x^2} \end{eqnarray*}


微分方程式の両辺に \frac{1}{x^2} をかける:

    \begin{eqnarray*} &&\frac{1}{x^2}z'-\frac{2}{x^3}z=-2x\\\\ \Leftrightarrow \quad&& \frac{d}{dx}\left(\frac{z}{x^2}\right)=-2x\\\\ \Leftrightarrow \quad&& \frac{z}{x^2}=\int -2x \, dx=-x^2+C\\\\ \Leftrightarrow \quad&& z=-x^4+Cx^2 \end{eqnarray*}


y の形にもどす:

    \begin{eqnarray*} y=z^{-\frac{1}{2}}=\frac{1}{\sqrt{Cx^2-x^4}}\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


* 答えは下の形でも良い。

    \begin{eqnarray*} \frac{1}{y^2} =Cx^2 -x^4\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


例題(3)の解答

    \begin{eqnarray*} y'+\frac{2}{x}y=x^2\sin  x\cdots y^{\textcolor{red}{2}} \end{eqnarray*}

のベルヌーイ型。

z=y^{1-\textcolor{red}{2}}=y^{-1} とおき、微分する。

    \begin{eqnarray*} z'=-y^{-2}y' \end{eqnarray*}


z' をつくるため、微分方程式の両辺に \textcolor{blue}{-y^{-2}} をかける:

    \begin{eqnarray*} &&\textcolor{blue}{-y^{-2}}y'+ \frac{2}{x}\left(\textcolor{blue}{-y^{-2}}\right)y= x^2\sin  x\left(\textcolor{blue}{-y^{-2}}\right)y^{3}\\\\ \Leftrightarrow \quad&& z'-\frac{2}{x}z=-x^2\sin  x \end{eqnarray*}

の線形型に帰着する。


次に、線形型を解いていく。

両辺にかけるもの:

    \begin{eqnarray*} e^{\int -\frac{2}{x}\,dx}=e^{-2\log|x|+C}\quad\Rightarrow\quad \frac{1}{x^2} \end{eqnarray*}


微分方程式の両辺に \frac{1}{x^2} をかける:

    \begin{eqnarray*} &&\frac{1}{x^2}z'-\frac{2}{x^3}z=-\sin  x\\\\ \Leftrightarrow \quad&& \frac{d}{dx}\left(\frac{z}{x^2}\right)=-\sin  x\\\\ \Leftrightarrow \quad&& \frac{z}{x^2}=\int -\sin  x \, dx=\cos x+C\\\\ \Leftrightarrow \quad&& z=x^2(\cos x + C) \end{eqnarray*}


y の形にもどす:

    \begin{eqnarray*} y=z^{-1}=\frac{1}{x^2(\cos x + C)}\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


* 答えは下の形でも良い。

    \begin{eqnarray*} \frac{1}{y} =x^2(\cos x + C)\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


3. まとめ

 ベルヌーイ型の微分方程式を解いてきた。 z=y^{1-n} の置き方さえマスターしておけば、あとはなんとでもなるだろう。 線形型に帰着するため、線形型の微分方程式の解き方は習得しておかなければならない。



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