ダランベール型(ラグランジュ型)の微分方程式は以下の形をしている。
のときは、クレローの微分方程式である。 ここでは の一般的なラグランジュの微分方程式を見ていこう。
次の微分方程式を解け。
1. ラグランジュ型の微分方程式の解法
ダランベール(ラグランジュ)の微分方程式
の解き方は以下の3STEP である。
- で微分する
- 1次線形型の微分方程式を解く
- 一般解、特殊解、特異解を調べる
ラグランジュの微分方程式を解く上では、 で微分すると線形型に変形できること が重要である。このことを確認して、具体的な例題を解いていくのが良い。 具体的な形がないとかなりわかりにくいと思う。
*このタイプの微分方程式を学ぶためには、まずクレローの微分方程式の解法を学ばなくてはならない。特に重要な媒介変数表示された一般解の表現についてはクレロー型のところで説明している。
xで微分する
(1) の両辺を で微分する。
これがどのタイプの微分方程式になるかわかるだろうか。
と同じ線形型の微分方程式となっている。ここで に対して
としておく。これは覚えるものではない。実際の問題では、ラグランジュの微分方程式の両辺を で微分し、線形型の微分方程式に変形していけば良い。
線形型微分方程式を解く
の線形型に対して、両辺に
をかけて整理すると
これが一般解である。これもまた覚えるものではない。
ここで得られた形は を含む( は積分定数)式で表される。 これを としておく。
すると、 の関係はこの式と(1)で表される。
この2式は が によって表されている、つまり を媒介変数とした形になっている。 の関係は によって結び付けられている。
したがって、(1)(2)は微分方程式の一般解を媒介変数で表した形になっており、2式から を消去したものは のみで表された一般解になる。
一般解、特殊解、特異解を調べる
最後に一般解、特殊解、特異解を調べる方法を説明する。
一般解
これは上で説明した通りである。 一般解は媒介変数表示で表すと、上の(1)(2)の2式になる。また、 を消去した形でも書くことができる。
特殊解
上の一般解は のときのものである。 の解が特殊解に対応する。 すなわち、(1)より特殊解は
である。特殊解は適当な を選ぶことにより一般解に含まれる場合がある。
特異解
得られた一般解を で偏微分して得る。クレロー型の場合は特異解は一般解の包絡線になっていたことを思い出す。
特異解がない場合もある(ここで扱う例題など)。
以上のように、ラグランジュの微分方程式では一般解、特殊解、特異解を調べる必要がある。
2. 例題の解答
解き方が複雑なので一通り解答を見て、再度自分で解くことをお勧めする。 特に の消去する計算は複雑であるし、自分のやり方もあると思う。
【解答】 例題は以下のように書けるラグランジュの微分方程式である。
一般解
で微分:
は特殊解である。
線形型を解く:
両辺に をかけて整理すると
以上より、一般解の媒介変数表示は(1)(2)で表される。
を消去:
パラメータの を消去していく。(1)より
を用いて次数を下げていく。(2)について
これの両辺を2乗して
最後の行で、式(3)の形をわかりやすく書いた。(3)を代入して、
これが(1)(2)から を消去して得られる一般解である。
特殊解
のとき、(1)より である。このとき、一般解へ代入すると
であり、 のときの解に対応することがわかる。 したがって、特殊解も含めて
の形になる。
特異解
一般解の式を で偏微分して
この を一般解へ代入して
を得る。これは(1)を満たさないので、特異解ではない。 したがって特異解はない。
* が(1)を満たさないことは
を
へ代入するとわかる。
3. まとめ
とにかくダランベール型(ラグランジュ型)やクレロー型は で微分してみる。 そうすると線形型の微分方程式が得られて解くことができる。
その後、一般解が媒介変数表示で表されているため、 を消去して と の関係式が得られる。特殊解、特異解についても調べることを忘れないようにしよう。