以下のヘヴィサイドの単位関数は応用上重要である。 ここでは単位関数について簡単に説明し、そのラプラス変換について学ぶ。
次の に関する関数をラプラス逆変換して を求めよ。 また、 を図示せよ。
目次
1. ヘヴィサイドの階段関数
階段関数の定義
ヘヴィサイドの階段関数(Heaviside step function) は以下の値をもつ。
で1にジャンプする。 で不連続な関数であるため、 で値を定義した単位ステップ関数もある。
なぜ必要であるか
階段関数はある時間で値が0から1になる関数である。 1/0の値は電源スイッチなどのON/OFFに対応していると言える。
例えば、ある関数 を用意する。 この関数と階段関数を用いて のON/OFFを関数として表現できる。
物理現象を関数として表現できれば、 解析的に微分・積分を実行することが可能である。 したがって、階段関数は非常に便利である。 微分方程式をラプラス変換を用いて解く場合にも、 階段関数が便利であるとわかるだろう。
組み合わせて使う
階段関数を と組み合わせて新たな関数を作ることができる。
① 関数 と② 階段関数 である。 ④ は で、ある外場による力 をかけ始めることなどに対応する。
2. ラプラス変換/逆変換
以下の性質を証明する。
単位関数のラプラス変換
計算の方針:定義通り計算する。
f(t-t0)u(t-t0)のラプラス変換/逆変換【tシフト】
計算の方針:定義通り計算する。
ここで、 は のラプラス変換である。したがって、ラプラス逆変換は
となる。この逆変換が、ラプラス変換で微分方程式を解くときに現れることがある。
3. 例題の解答
移動を使う上での方針:
- を除く
- のラプラス逆変換した を考える
- と書く
- グラフは を 移動して は0にする
本例題の逆変換で重要なポイントは以下の通り。
その他、通常のラプラス逆変換はできる前提である(逆変換表まとめ)。
例題(1)の解答
【解答】
1. を除く:
2. のラプラス逆変換:
3. と書く:
4. グラフを描く
例題(2)の解答
【解答】
1. を除く:
2. のラプラス逆変換:
3. と書く:
4. グラフを描く
は周期 の関数である。
例題(3)の解答
【解答】
1. を除く:
2. のラプラス逆変換:
3. と書く:
4. グラフを描く
は周期 の関数である。
例題(4)の解答
例題(1)と同様のラプラス逆変換を3つの項についておこなう。
【解答】
より。それぞれの項についてラプラス逆変換すると
したがって
このグラフは下図のようになる。
例題(5)の解答
のラプラス逆変換には「 移動(-shifting)」を使う。
【解答】 与えられた関数を
とおく。
について、
したがって、与えられた関数のラプラス逆変換は
4. まとめ
階段関数とラプラス変換について、その重要性を簡単に説明した。 RC回路などの微分方程式をラプラス変換で解くときには、例題の(5)のようなものが現れる。 ラプラス逆変換に階段関数が現れる( 移動)については計算できるようにしておきたい。
例題1の分母はsですか、それともs^2ですか。
解説の方でいきなりs^2がでてきたので疑問に思い質問させていただきました。
すみません、例題が間違っていました。2乗だと思って解答しています。
(分母がsのときの答えは u(t-3) です。
u(t-3) = 0 (t<3), 1 (3