フーリエ係数 は以下で求められるが、フーリエ係数の意味を簡単に説明しておこうと思う。以下で、
は
で周期的な関数とする。
1. フーリエ係数の意味
フーリエ級数展開とは、周期 の周期関数
を同じ周期を持った三角関数で展開してやることである。こんな風に。
は、
がそれぞれの三角関数の成分をどれだけ持っているかを表す。
は
の重みを表す。
わかりやすいイメージ
初めてフーリエ級数になれていない人は、 によって身構えしてしまう。一回そのことは忘れよう。そして2次元の平面ベクトルに戻ってみてほしい。
下に平面ベクトル を用意した。見てわかる通り、
は
軸方向の成分である。そして、
は
軸方向の成分である。

そして今まで 軸、
軸と呼んでいたものを
と
に置き換えてしまったのが下の図である。フーリエ級数のイメージはこのようなものである。
結局 「 方向の成分は何か?
方向の成分は何か?」 を調べるのがフーリエ級数である。
関数もベクトルと同じように扱うためには、とりあえずは下のように決めてやれば良い。

実際は、 であったため、ベクトルの次元は無限に大きい。
フーリエ係数を求める
2次元ベクトルで の成分を求める場合は、求めたいベクトル
に対して、
のベクトルで内積を取れば良い。そうすれば、図の上のように
が求められる。

の場合も同様にできないだろうか?
できる。ただし、 が直交する場合である。実はフーリエ級数は関数空間の話なので踏み込まないが、上のベクトルから拡張するためには以下に注意する。
- 関数空間で「内積」を定義する
などが直交するか調べる
関数の内積の定義
ここでのフーリエ級数での二つの関数 の内積の定義は、
ここでフーリエ級数においては
:フーリエ級数展開される側の関数
:
などの三角関数
である。例えば、 とすると、
となる。なんとなくフーリエ級数の形が見えてきたと思う。
三角関数の直交性
内積を定義すると、関数同士が直交しているかどうかわかる!
では、 の内積を計算してみる。
となり、 と
は直交している!したがって、初めに見た絵のように座標軸が直交しているようなイメージになる。
自分自身との内積を考える。 として、
となり直交していない。これは、 が関数空間である大きさ(ノルム)を持っているということである。
などの一般的な三角関数についての内積は以下の通りである。
見ての通り、自分以外の関数とは直交することがわかる。したがって、初めにベクトルの成分を内積で取り出せたように、 のフーリエ係数
を「関数の内積」で取り出せそうである。
ベクトル空間との違いは、
- 自分同士の内積は
- 内積の定義に注意する
である。
これを踏まえて以下ではフーリエ係数を導出する。
2. フーリエ係数の導出
以上の三角関数の直交性さえ理解していれば、フーリエ係数は簡単に導出できる。まず、周期 の
を下のように展開する。
ここで、 と
の内積をとる。つまり、両辺に
をかけて
で積分する。
ここで、 の積分に関係のない
は
の外に出した。
右辺の積分で にならない部分がわかるだろうか?
三角関数の直交性からもちろん の
の部分だけが残る!そして自分同士の内積は
であった。したがって、
となり、
を得る。
が欲しい場合は、
と
の内積を取れば良い。つまり、
より、
となる。 と置いているために、
のときも下の形でまとめることができる。
を求める場合は、
と
との内積を取れば良い。つまり、
に
をかけて
で積分すれば良い。結果は
がないのは、
だからである。
のときは、
の定数項として残っているだけである。
3. まとめ
フーリエ係数は、三角関数の直交性から導出できることがわかっただろうか。また、平面ベクトルとの比較からフーリエ係数のイメージを持っておくと便利である。
:基底ベクトルとして扱いやすくするためには、規格化しておくのが良いだろうが、ここでは単に
を基底としてみている。
最後の結果a_nとなっていますがb_nではないでしょうか.
修正いたしました。ありがとうございます。