以下のような「ヴァンデルモンドの行列式(Vandermonde’s determinant)」 と呼ばれる特殊な行列式がある。 対照的な綺麗な形をしており、行列式の性質を使うことで証明することができる。
ヴァンデルモンドの行列式
1. 証明
方針:帰納法を用いる。
【証明】
(i) のとき
より(*)は成り立つ。
(ii) のとき(*)が成り立つと仮定する。
このとき、 に対して(*)の左辺(LHS; left-hand side)は
である。
ここで以下の操作をおこなう。
証明のポイント
- (n行目)-
×(n-1行目)
- (n-1行目)-
×(n-2行目)
- ・・・
- (2行目)-
×(1行目)
この操作により、
は
の
個ある。また、
と入れ替えるごとに
の因子がつく。
したがって最後の行で と書き換えると、
となる。
以上より、ヴァンデルモンドの行列式(*)が成り立つことが示された。
2. 登場場面
本サイトでは階線形微分方程式の基本解に関する「ロンスキー行列の行列式」で登場した。 そういったこともあり証明方法をここにまとめた次第。
3. まとめ
とか
とか分かりにくかったら
くらいの小さい行列で具体的に計算してみるのが良いと思います。