転置行列の行列式
本記事では、次正方行列の転置行列 の行列式 が と等しくなることを示す。証明する上で、行列式の定義に習熟している必要がある。
1. 転置行列の表現
転置行列 は を左上から右下への対角線で折り返せば良い。3次正方行列の場合、
となる。値は、
のように入れ替わるので、置換 で表すと
のようになる。
次正方行列の場合、
となる。 の要素を 、 の要素を とすれば、 である。
2. det(tA)=det(A) の証明
次正方行列の行列式の定義は、
ここで、
:置換
:置換の符号
:置換全体の集合
を表す。
2.1 【証明】
次正方行列 の要素を 、 の要素を と置く()。
行列式の定義より、
である。 はそれぞれが元々の に一致するので、並び替えて
となる。ここで、に対し
となる逆置換 を用いた。また、 のとき、 である。式(2)を式(1)へ代入して、
となる。
以上のように置換を使いこなし
が証明できる。