ローラン展開例題シリーズその3。ここまで、ローラン展開の基本と例題 、三角関数を含んだ関数のローラン展開の例題 を扱ってきた。ここでは
が真性特異点である複素関数について、ローラン展開して複素積分を求める。孤立特異点における留数を求める下の式は使えない。
![Rendered by QuickLaTeX.com \begin{eqnarray*} \cancel{Res[z=0,f(z)]=\frac{1}{(n-1)!}\lim_{z\to 0}\frac{d^{n-1}}{dz^{n-1}}\left[ z^n f(z)\right]} \end{eqnarray*}](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-a8871af8c1f072b055ebc9cb03c4519a_l3.png)
次の複素関数
を
周りでローラン展開せよ。その後、それらの複素積分を求めよ。

(積分経路
1. 前提知識
真性特異点と孤立特異点
真性特異点と孤立特異点の見分け方のひとつを説明する。ある2つの複素関数
をそれぞれローラン展開した結果、下のようになったとする。

について:
の項が残るため、
は 6位の極(孤立特異点)。また、留数は
である。
について:
の部分(主要部)について、
の項は
まである。したがって、
は真性特異点である。また、留数は
である。
ざっくりした見分けとして、特異的な項が打ち切られていたら孤立特異点である。
展開まとめ
ここで使う展開式はマクローリン展開、

において
として、

2. 解答
複素積分の計算の方針:
をローラン展開する
の係数
(留数)を求める- 複素積分の値は 「
×(留数)」(留数定理)
なぜこれで求められるかは、「例題で学ぶ:ローラン展開/極/留数定理」 に書いた。(読了目安:15~30分)
以下のローラン展開の結果を見ればわかるように、例題の3つの関数は真性特異点
をもつ。
(1) f(z) = e^(1/z)
- ローラン展開:
![]()
2.
の係数
(留数):
3. 複素積分の値は 「
×(留数)」:
![]()
以下の問題も同様に複素積分が計算できる。
(2) f(z) = z^2 sin(1/z)
ローラン展開の方針:
をそのまま使う。
- ローラン展開:
![Rendered by QuickLaTeX.com \begin{eqnarray*} z^2\sin \left(\frac{1}{z}\right) &=& z^2\left[\frac{1}{z} -\frac{1}{3!}\frac{1}{z^3} + \frac{1}{5!}\frac{1}{z^5} -\cdots\right]\\\\ &=&z\textcolor{red}{-\frac{1}{6}\cdot\frac{1}{z}}+\frac{1}{120}\cdot\frac{1}{z^3}-\cdots \end{eqnarray*}](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-14487c9963a95e89e86e29888332bb10_l3.png)
2.
の係数
(留数):
3. 複素積分の値は 「
×(留数)」:
![]()
(3) f(z) = z^3 e^(1/z)
ローラン展開の方針:
をそのまま使う。
- ローラン展開:
![Rendered by QuickLaTeX.com \begin{eqnarray*} z^3 e^{\frac{1}{z}}&=& z^3 \left[1+\frac{1}{z}+\frac{1}{2!}\cdot\frac{1}{z^2}+\frac{1}{3!}\cdot\frac{1}{z^3}+\frac{1}{4!}\cdot \frac{1}{z^4} + \frac{1}{5!}\cdot \frac{1}{z^5} +\cdots\right]\\\\ &=& z^3 + z^2 + \frac{1}{2}\,z + \frac{1}{6}+ \textcolor{red}{\frac{1}{24}\cdot \frac{1}{z}}+\frac{1}{120}\cdot \frac{1}{z^2}+\cdots \end{eqnarray*}](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-2d709d278c19da26e273d4e7e31c395a_l3.png)
2.
の係数
(留数):
3. 複素積分の値は 「
×(留数)」:
![]()
3. まとめ
真性特異点を含んだ複素積分の場合はローラン展開が重要になってくる。つまり、今回のようにローラン級数

で展開して、留数である
を求めることによって複素積分の計算をおこなう。真性特異点の関係する複素積分の問題としては、三角関数や指数関数に
が入った形が多い。
ローラン展開の例題シリーズはひとまず終わりです。