【ベクトル解析】はじめての 方向余弦 (図でわかる)


 方向余弦は、あるベクトルの方向 を表す方法のひとつである。各軸から測った3つの角度で表現できる。ここでは絵を使って性質などをまとめておく。

学ぶこと


  • ベクトル \vec{A} の方向を向く
  • 3つの軸から測った角度 \alpha,\beta,\gamma で表される
  • (l,m,n) は単位ベクトル(大きさ1)になる




1. 方向余弦の表し方

 表し方は図の通りである。



\cos\alpha,\cos\beta,\cos\gamma の3つの余弦によって方向を表すので、「方向余弦」と呼ぶ。後の「3.角度の関係」に示すように

    \begin{eqnarray*} \cos^2\alpha+\cos^2\beta+\cos^2\gamma=1 \end{eqnarray*}

の関係がある。


説明

 あるベクトル \vec{A} を考える。 このベクトルの方向は以下のように表すことができる。

  • x 軸から測った角度 \alpha
  • y 軸から測った角度 \beta
  • z 軸から測った角度 \gamma

で表すことができる。つまり方向余弦を

    \begin{eqnarray*} \left(\begin{array}{c} l\\m\\n \end{array}\right)= \left(\begin{array}{c} \cos^2\alpha\\ \cos^2\beta \\ \cos^2 \gamma \end{array}\right) \end{eqnarray*}

で表す。このベクトルの大きさは1である。



2. どうして cos になるか?

 ベクトルの内積を使って示す。



説明\vec{A}

    \begin{eqnarray*} \vec{A}=\left(\begin{array}{c}x\\y\\z \end{array}\right) \end{eqnarray*}

として、3つの軸から測ったときの角度をそれぞれ \alpha,\beta,\gamma とする。このとき、3つの軸方向の単位ベクトル、

    \begin{eqnarray*} \vec{e}_x=\left(\begin{array}{c}1\\0\\0 \end{array}\right),\quad \vec{e}_y=\left(\begin{array}{c}0\\1\\0 \end{array}\right),\quad \vec{e}_z=\left(\begin{array}{c}0\\0\\1 \end{array}\right) \end{eqnarray*}

\vec{A} との内積をとる。


内積は \cos を使った表現と成分で表現する2通りある。

    \begin{eqnarray*} \vec{A}\cdot\vec{e}_x&=&||\vec{A}||\cdot ||\vec{e}_x||\textcolor{red}{\cos \alpha} = x\\ \vec{A}\cdot\vec{e}_y&=&||\vec{A}||\cdot ||\vec{e}_y||\textcolor{red}{\cos \beta} = y\\ \vec{A}\cdot\vec{e}_z&=&||\vec{A}||\cdot ||\vec{e}_z||\textcolor{red}{\cos \gamma} = z \end{eqnarray*}

A\equiv ||\vec{A}|| とすると ||e_i||=1 であるため

    \begin{eqnarray*} \cos\alpha&=&\frac{x}{A}\equiv l\\\\ \cos\beta &=&\frac{y}{A}\equiv m\\\\ \cos\gamma&=&\frac{z}{A}\equiv n \end{eqnarray*}

となる。方向余弦を表すために、l,m,n を用いると便利である。 (\cos で表されているほうが意味は取りやすい気がするのだが。)


 これより、x,y,z を方向余弦を使って表すことができる。

    \begin{eqnarray*} \left(\begin{array}{c}x\\y\\z \end{array}\right)= \left(\begin{array}{c}A\cos\alpha\\A\cos\beta\\A\cos\gamma \end{array}\right)= \left(\begin{array}{c}Al\\Am\\An \end{array}\right) \end{eqnarray*}

または

    \begin{eqnarray*} \left(\begin{array}{c}x\\y\\z \end{array}\right)= A\left(\begin{array}{c}\cos\alpha\\\cos\beta\\\cos\gamma \end{array}\right)= A\left(\begin{array}{c}l\\m\\n \end{array}\right) \end{eqnarray*}



3. 角度の関係

 最後に方向余弦

    \begin{eqnarray*} \left(\begin{array}{c} l\\m\\n \end{array}\right)= \left(\begin{array}{c} \cos^2\alpha\\ \cos^2\beta \\ \cos^2 \gamma \end{array}\right) \end{eqnarray*}

のベクトルの大きさが1であることを示す。すなわち、

    \begin{eqnarray*} l^2+m^2+n^2 = \cos^2\alpha + \cos^2 \beta + \cos^2 \gamma = 1 \end{eqnarray*}

を示す。


説明

    \begin{eqnarray*} \frac{\vec{A}}{A}=\frac{1}{A}\left(\begin{array}{c}x\\y\\z \end{array}\right)= \left(\begin{array}{c}\cos\alpha\\\cos\beta\\\cos\gamma \end{array}\right)= \left(\begin{array}{c}l\\m\\n \end{array}\right) \end{eqnarray*}

である。ベクトル \vec{A} を自分の大きさ A でわった左辺は単位ベクトルである。したがって、これらの等号で結ばれたベクトルの大きさはすべて1である。


そういうわけで

    \begin{eqnarray*} \cos^2\alpha+\cos^2\beta +\cos^2\gamma=1 \end{eqnarray*}

あるいは

    \begin{eqnarray*} l^2+m^2+n^2=1 \end{eqnarray*}

となる。



4. まとめ

 方向余弦をまとめると以下のようになる。

  • ベクトル \vec{A} の方向を向く
  • 3つの軸から測った角度 \alpha,\beta,\gamma で表される
  • (l,m,n) は単位ベクトル(大きさ1)になる

 方向余弦を表す \cos を導出するためには、各軸の単位ベクトルと内積を取ればよいことがわかる。



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