【微分方程式】「同次型」に似た例題その(1)/平行移動による変数変換


 ここでは以下のような同次型に似た問題を扱う。

    \begin{eqnarray*} y'=f\left(\frac{a_1x+b_1y+c_1}{a_2x+b_2y+ c_2}\right) \quad(a_1b_2\neq a_2b_1) \end{eqnarray*}

 変数変換により同次型に帰着することがわかる。(同次型がわからない・解けない方は先に「同次型の解法」で解法を習得したほうがよいだろう。) 以下の例題を使って解説していこう。

同次型に似ている例題その(1)

次の微分方程式を解け。

    \begin{eqnarray*} (4x+y-5)-(x+y+1)y'=0 \end{eqnarray*}




1. 同次型に帰着する方針

 冒頭に示したように同次型ではないため、 変数変換により同次型に帰着させる。 どのように変数変換するか、その考え方を以下に示す。


  「同次型ではない」という意味

 同次型であれば、

    \begin{eqnarray*} (4x+y)-(x+y)y'=0 \end{eqnarray*}

のように、項の次数が同じであるはず。しかし、本問題では

    \begin{eqnarray*} (4x+y-5)-(x+y+1)y'=0 \end{eqnarray*}

のように定数項(0次の項)が混じっている。 したがって、整理すると

    \begin{eqnarray*} y'=\frac{4x+y-5}{x+y+1}=\frac{4+\frac{y}{x}-5\,\frac{1}{x}}{1+\frac{y}{x}+\frac{1}{x}} \end{eqnarray*}

のようになる。同次型と同じ解法は使えなさそうである。


  「同次型にしてしまえばよい」という発想

 今、困っているのは「定数項の存在」である。 したがって、変数 x,y を変換して定数項を消してしまえば、同次型の問題になるはず。


 どのように変数変換するかが大事である。 まず、分子と分母を見てみよう。これらは1次式である。

    \begin{eqnarray*} &&y=-4x+5\\ &&y=-x-1 \end{eqnarray*}

とすれば「2本の直線」の式になる。

直線における定数項の役割は「切片」である。 2直線を描いてみよう。

 そして、いま目指していることは定数項を消すこと、 すなわち、切片が0になるような変数変換をすることである。 それも2本の直線とも!

 したがって、 新たな XY 平面の原点が2直線の交点を通るようにすればよい。

これに対応する変数変換は、

    \begin{eqnarray*} \begin{cases} X=x-2\\ Y=y+3 \end{cases} \end{eqnarray*}

である。図から明らかなように、

    \begin{eqnarray*} &&4x+y-5=4X+Y=0\\ &&x+y+1=X+Y=0 \end{eqnarray*}

となり、定数項が消えた


 次に左辺 \frac{dy}{dx} を考える。 y'yx で微分したものである。微分は傾き(変化率)に対応するものであるため、 上のような平行移動による変換では変わらない。したがって

    \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dx}=\frac{dY}{dX} \end{eqnarray*}

である。


そういうわけで、(x,y)\to(X,Y) の変換により 微分方程式は

    \begin{eqnarray*} Y'\equiv \frac{dY}{dX}=\frac{4X+Y}{X+Y} \end{eqnarray*}

となり、「同次型の微分方程式」に帰着する。


  解法まとめ

 上の結果をまとめよう。

    \begin{eqnarray*} y'=f\left(\frac{a_1x+b_1y+c_1}{a_2x+b_2y c_2}\right) \end{eqnarray*}

 の同次型に似た微分方程式の解法の流れを以下に示す。


例題の解答の流れ


  1. 分子と分母の直線の交点 (x_0,y_0) を求める
  2. X=x-x_0,Y=y-y_0 とおく(同次型に帰着)
  3. Z=\frac{Y}{X} と置いて整理(変数分離型に帰着)
  4. 変数分離型の微分方程式を解く(変数分離型の解法
  5. X,Z の式を X,Y に戻す
  6. X,Y の式を x,y に戻す


2. 例題の解答

以下、C_1,C_2,C などは定数である。


【解答】

    \begin{eqnarray*} (4x+y-5)-(x+y+1)y'=0 \end{eqnarray*}

を変形して、

    \begin{eqnarray*} y'=\frac{4x+y-5}{x+y+1} \end{eqnarray*}


ここで、2直線

    \begin{eqnarray*} \begin{cases} 4x+y-5=0\\ x+y+1=0 \end{cases} \end{eqnarray*}

の交点は (x,y)=(2,-3) であるため、

    \begin{eqnarray*} \begin{cases} X=x-2\\ Y=y+3 \end{cases} \end{eqnarray*}

と置く。 したがって、もとの微分方程式は

    \begin{eqnarray*} \frac{dY}{dX}=\frac{4X+Y}{X+Y}=\frac{4+\frac{Y}{X}}{1+\frac{Y}{X}} \end{eqnarray*}

となる(変数分離型に帰着)。


    \begin{eqnarray*} Z=\frac{Y}{X} \end{eqnarray*}

と置くと

    \begin{eqnarray*} Y=XZ;\quad Y'=Z+X\frac{dZ}{dX} \end{eqnarray*}

である。このとき微分方程式は、

    \begin{eqnarray*} Z+X\frac{dZ}{dX}&=&\frac{4+Z}{1+Z} \\\\ X\frac{dZ}{dX}&=&\frac{4-Z^2}{1+Z} \end{eqnarray*}

となる。

したがって、

    \begin{eqnarray*} \frac{1+Z}{4-Z^2}\,\textcolor{red}{dZ} &=&\frac{\textcolor{red}{dX}}{X}\\\\ \int \frac{1+Z}{4-Z^2}\,dZ &=&\int \frac{dX}{X}=\log |X| +C_1 \end{eqnarray*}

となる。


左辺は

    \begin{eqnarray*} &&\int \frac{1+Z}{4-Z^2}\, dZ\\\\ &=&\int \,-\frac{1}{4}\,\frac{1}{Z+2}+\frac{3}{4}\,\frac{1}{2-Z}\, dZ\\\\ &=&-\frac{1}{4}\log|2+Z|-\frac{3}{4}\log|Z-2| \end{eqnarray*}

となる。


よって、

    \begin{eqnarray*} -\frac{1}{4}\log|2+Z|-\frac{3}{4}\log|Z-2|&=&\int \frac{dX}{X}=\log |X| +C_1\\\\ \log|2+Z|+3\log|2-Z|+4\log|X|&=&C_2 \quad(C_2\equiv -4C_1)\\\\ \log|2+Z|+\log|2-Z|^3 +\log|X|^4&=&C_2\\\\ \log|X^4(2-Z)(2-Z)^3|&=&C_2\\\\ X^4 (2-Z)(2+Z)^3&=&C\quad(C\equiv \pm e^{C_2})\\\\ X^4 \left(2+\frac{Y}{X}\right)\left(2-\frac{Y}{X}\right)^3&=&C\\\\ (2X+Y)(2X-Y)^3&=&C\quad\cdots(*) \end{eqnarray*}

となる。


(X,Y)\to(x,y) に変換して、

    \begin{eqnarray*} (2x+y-1)(2x-y-7)^3&=&C\quad\blacksquare \end{eqnarray*}

となる。



* 結果(*)のチェックは、両辺を X で微分してみれば良い。

    \begin{eqnarray*} \frac{d}{dX}\left[ (2X+Y)(2X-Y)^3\right] &=&\frac{d}{dX}C=0\\\\ \end{eqnarray*}

について、左辺は

    \begin{eqnarray*}&& (2+Y')(2X-Y)^3+3(2X+Y)(2X-Y)^2(2-Y')\\\\&&\quad= (2X-Y)^2\left\{ (2+Y')(2X-Y)+(6X+3Y)(2-Y') \right\} \end{eqnarray*}

となる。したがって、

    \begin{eqnarray*} && 4X-2Y+(2X-Y)Y'+12X+6Y+(-6X-3Y)Y'=0\\\\ &&\quad \therefore \quad Y'=\frac{16X+4Y}{4X+4Y} =\frac{4X+Y}{X+Y} \end{eqnarray*}

となり、もとの微分方程式を得る。


** \log 計算のコツ:\log の和が多くなってくると絶対値が外しにくい。 したがって、\log の中身を積の形にしてから絶対値を外すのが良いと思う。



3. まとめ

 2直線をイメージして交点をずらすことにより、定数項を消す。 これによって同次型に帰着させれば、微分方程式が解ける。解答の流れはこうであった。

 ところで、2直線に交点がなく平行になっている場合は… たとえば、

    \begin{eqnarray*} y'=f\left(\frac{a'(a_1x+b_1y)+c_1}{a_1x+b_1 y+c_2} \right) \end{eqnarray*}

のような場合。このタイプはここで扱った変数変換ではない解き方が必要である。




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