ここでは以下のような同次型に似た問題を扱う。
変数変換により同次型に帰着することがわかる。(同次型がわからない・解けない方は先に「同次型の解法」で解法を習得したほうがよいだろう。) 以下の例題を使って解説していこう。
次の微分方程式を解け。
1. 同次型に帰着する方針
冒頭に示したように同次型ではないため、 変数変換により同次型に帰着させる。 どのように変数変換するか、その考え方を以下に示す。
「同次型ではない」という意味
同次型であれば、
のように、項の次数が同じであるはず。しかし、本問題では
のように定数項(0次の項)が混じっている。 したがって、整理すると
のようになる。同次型と同じ解法は使えなさそうである。
「同次型にしてしまえばよい」という発想
今、困っているのは「定数項の存在」である。 したがって、変数 を変換して定数項を消してしまえば、同次型の問題になるはず。
どのように変数変換するかが大事である。 まず、分子と分母を見てみよう。これらは1次式である。
とすれば「2本の直線」の式になる。
直線における定数項の役割は「切片」である。 2直線を描いてみよう。

そして、いま目指していることは定数項を消すこと、 すなわち、切片が0になるような変数変換をすることである。 それも2本の直線とも!
したがって、 新たな 平面の原点が2直線の交点を通るようにすればよい。

これに対応する変数変換は、
である。図から明らかなように、
となり、定数項が消えた。
次に左辺 を考える。
は
を
で微分したものである。微分は傾き(変化率)に対応するものであるため、 上のような平行移動による変換では変わらない。したがって
である。
そういうわけで、 の変換により 微分方程式は
となり、「同次型の微分方程式」に帰着する。
解法まとめ
上の結果をまとめよう。
の同次型に似た微分方程式の解法の流れを以下に示す。
2. 例題の解答
以下、 などは定数である。
【解答】
を変形して、
ここで、2直線
の交点は であるため、
と置く。 したがって、もとの微分方程式は
となる(変数分離型に帰着)。
と置くと
である。このとき微分方程式は、
となる。
したがって、
となる。
左辺は
となる。
よって、
となる。
に変換して、
となる。
* 結果(*)のチェックは、両辺を で微分してみれば良い。
について、左辺は
となる。したがって、
となり、もとの微分方程式を得る。
** 計算のコツ:
の和が多くなってくると絶対値が外しにくい。
したがって、
の中身を積の形にしてから絶対値を外すのが良いと思う。
3. まとめ
2直線をイメージして交点をずらすことにより、定数項を消す。 これによって同次型に帰着させれば、微分方程式が解ける。解答の流れはこうであった。
ところで、2直線に交点がなく平行になっている場合は… たとえば、
のような場合。このタイプはここで扱った変数変換ではない解き方が必要である。