ここでは、「変数分離形」の微分方程式を例題を使って学習する。いろいろな微分方程式がこのタイプに帰着することがあるので、解けるようにしておきたい。
次の変数分離形の微分方程式を解いて、一般解を求めよ。
1. 変数分離形
よく出てくるタイプなので絶対におさえておくこと。
変数分離形とは何か
変数分離形は下のようなタイプで、 と を分離できる。
この微分方程式の右辺は見ての通り、 のかたまりと のかたまりに分けることができる。
例:
が定数の場合もある。
したがって、
もまた変数分離形の仲間であり、ここで学ぶ解法が使える。
変数分離形の解き方
あたかも が項であるかのように、 与えられた式を変形しよう。
両辺に積分記号をつける。
これが変数分離形の解き方である。
に関する式は左辺に、 に関する式は右辺に集めれば良い。そのあと両辺を積分して解を求める。
式変形では、あたかも が項であるかのように扱う。
* を一つの項として扱うのであれば、
と変形して、両辺を で積分すれば、
となり、
に一致する。
2. 例題の解答
ここではあたかも を独立な項であるかのように書いて解答する。
例題(1)の解答
ここで絶対値に注意する。また、不定積分の を忘れない。
を外す。
絶対値を外す。
* 最後の行で定数 を を用いて置いた。 ここで は0を含めたすべての実数をとる。 というのも に対応する は元々の微分方程式の解になっているからである。
例題(2)の解答
をとって、絶対値を外す:
* は を含むすべての実数である。 に対応する はもともとの微分方程式の解になっている。
例題(3)の解答
はすべての実数。
の形に直しておく。
* 得られた を微分してチェックすることは計算ミスを防ぐ上で重要である。
確かに、微分方程式を満たす。
3. まとめ
変数分離形の解法は、最も基本的な微分方程式の解き方のひとつである。 より難しい微分方程式も、変数分離形に帰着させて解くといったことが頻繁にあるため、 変数分離形はマストで解けるようにしておかなければならない。