【微分方程式】「同次型」に似た問題その(2)/u=ax+by+cと変換


 前回の続きから、同次型に似た例題を解いていこうと思う。 ここでは以下のタイプの微分方程式を「変数分離型」に帰着させることを目指す。

    \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dx}=f\left(\frac{k(ax+by)+c'}{ax+by+c} \right) \end{eqnarray*}

右辺の分子・分母をそれぞれ直線と見たとき、平行になる場合である。 (交点を持つ場合は、「同次型の解法の応用」で扱った。) 以下の例題を元に、上の微分方程式の解法を見ていこう。

同次型に似ている例題その(2)

以下の微分方程式を解け。

    \begin{eqnarray*} (2x+2y+5)-(x+y-2)y'=0 \end{eqnarray*}




1. 変数分離型に帰着させるアプローチ

本問は、適当な変数変換により簡単に解くことができる。


同次型ではない

 ここで扱う問題は同次型ではない。 同次型であれば、

    \begin{eqnarray*} (2x+2y)-(x+y)y'=0 \end{eqnarray*}

のようにすべて係数はすべて1次式でできているはずで、 定数項は含まないのである。


平行であるという意味

 2直線が平行である条件は、高校数学のレベルなので簡単にまとめておく。 2直線が平行とは「2直線の傾きが等しい」ことであった。 したがって、 以下の2直線は、ともに傾きが \frac{a}{b}\,(b\neq 0) で平行である。

    \begin{eqnarray*} k(ax+by)+c'=0 \\ (ax+by)+c=0 \end{eqnarray*}

もし交点がある場合は、微分方程式の変数を変えてやれば解くことができた。(「同次型の解法の応用」参考)


変数変換をおこなう

 結論を先に言っておくと、今回のタイプの問題は以下の変数変換により解くことができる。


    \begin{eqnarray*} \textcolor{red}{u=ax+by+c} \end{eqnarray*}

と置く。すなわち、x,y\to x,u に変数変換する。 平行であるがゆえ、

    \begin{eqnarray*} f\left(\frac{k(ax+by)+c'}{ax+by+c} \right) &=&f\left(k+\frac{c''}{ax+by+c}\right)\\\\ &=&f\left(k+\frac{c''}{u}\right)\equiv g(u) \end{eqnarray*}

となり右辺は u のみの関数でかける。


たとえば、

    \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dx}=\frac{k(ax+by)+c'}{ax+by} \end{eqnarray*}

に対しては、右辺が

    \begin{eqnarray*} \frac{k(ax+by)+c'}{ax+by+c} &=&k+\frac{c''}{ax+by+c}\\\\ &=&k+\frac{c''}{u} \end{eqnarray*}

の形に書き換えることができる。


右辺は b\neq 0 として、

    \begin{eqnarray*} y&=&\frac{u}{b}-\frac{a}{b}x-\frac{c}{b}\\\\ y'&=&\frac{1}{b}\,\frac{du}{dx}-\frac{a}{b} \end{eqnarray*}

となる。


 したがって、微分方程式は

    \begin{eqnarray*} &&\frac{1}{b}\,\frac{du}{dx}-\frac{a}{b} =k+\frac{c''}{u}\\\\ \Leftrightarrow \quad && \frac{du}{dx}=bk+a+\frac{bc''}{u}\equiv g(u) \end{eqnarray*}

となり、u のみの関数 g(u) で表すことができ、変数分離型に帰着する。

つまり、

    \begin{eqnarray*} \int \frac{du}{g(u)} = \int dx = x+C \end{eqnarray*}

によって

    \begin{eqnarray*} h(u,x)=0\Rightarrow h(ax+by+c,x)=0 \end{eqnarray*}

の微分方程式の解を得ることができる。


 これだけだとわかりにくいため、以下の解答の流れを参考にして例題を見ていくのが良いだろう。


解答の流れ

微分方程式

    \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dx}=f\left(\frac{k(ax+by)+c'}{ax+by+c} \right) \end{eqnarray*}

に対する解答の流れを示す。

解答の流れ


  1. u=ax+by+c と置く
  2. 微分方程式は u'=g(u) の形になる(変数分離型)
  3. 変数分離型を解いて h(u,x)=0 を得る
  4. (x,u)\to(x,y) に戻す(h(ax+by+c,x)=0 の形が解)



2. 例題の解答

    \begin{eqnarray*} (2x+2y+5)-(x+y-2)y' =0 \end{eqnarray*}

を解く。


【解答】 式変形していく:

    \begin{eqnarray*} y'&=&\frac{2x+2y+5}{x+y-2}\\\\ &=&2+\frac{9}{x+y-2} \end{eqnarray*}


u=x+y-2 と置く:

    \begin{eqnarray*} y=u-x+2;\,y'=u'-1 \end{eqnarray*}


微分方程式は

    \begin{eqnarray*} u'-1&=&2+\frac{9}{u}\\\\ u'&=&\frac{3u+9}{u} \end{eqnarray*}

となり変数分離型に帰着する。


変数分離型を解く:

    \begin{eqnarray*} &&\frac{u}{3u+9}\, \textcolor{red}{du}=\textcolor{red}{dx}\\\\ \Leftrightarrow \quad &&\int \frac{u}{u+3}\,du=3\int x\,dx\\\\ \Leftrightarrow \quad &&\int \left(1-\frac{3}{u+3}\right)\, du=3\int x \,dx\\\\ \Leftrightarrow \quad &&u-3\log|u+3|=3x+C_1\\\\ \Leftrightarrow \quad &&\log|u+3|=\frac{u}{3}-x+C_2\quad\left(C_2\equiv -\frac{C_1}{3}\right)\\\\ \Leftrightarrow \quad &&u+3=C_3e^{\frac{u}{3}-x}\quad(C_3=\pm e^{C_2})\\\\ \end{eqnarray*}


(x,u)\to(x,y) に戻す:

    \begin{eqnarray*} &&x+y+1=C_3e^{\frac{x+y-2}{3}-x}\\\\ \Leftrightarrow \quad &&x+y+1=Ce^{-\frac{2}{3}x+\frac{y}{3}}\quad(C\equiv C_3 e^{-\frac{2}{3}})\quad\blacksquare \end{eqnarray*}

が解である。

*解のチェックのために、得られた結果を微分して元の微分方程式が得られるか調べる。最後の結果を微分する。

    \begin{eqnarray*} &&1+y'=\textcolor{blue}{Ce^{-\frac{2}{3}x+\frac{y}{3}}}\left( -\frac{2}{3}+\frac{1}{3}y'\right)\\\\ \Leftrightarrow\quad &&1+y'=(\textcolor{blue}{x+y+1})\left( -\frac{2}{3}+\frac{1}{3}y'\right)\\\\ \Leftrightarrow\quad &&3+3y'=(x+y+1)(-2+y')\\\\ \Leftrightarrow\quad &&(x+y-2)y'=2x+2y+5\\\\ \Leftrightarrow\quad &&(2x+2y+5)-(x+y-2)y' \end{eqnarray*}

となり、元の微分方程式を得る。


3. まとめ

 今回は微分方程式を簡単にしてから、適当な変数変換により変数分離型に帰着することができた。微分方程式では変数変換により、別のタイプの微分方程式に帰着することが多いため、適切な変数変換をする力を養っておくとよい。そのためにいくつかのパターンを覚えておく必要があるだろう。



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