以下、実数 , 次正方行列 とする。 と同じように、 としたとき
のようにベキ級数展開が定義できる。このとき、行列の積の定義から は 次正方行列になる。また、これに関連していくつかの重要な性質をまとめる。
* ここで は行列なので、 とせずに大文字の を使っている。
目次
関数の展開
一般に関数 は
のように多項式でベキ級数展開できる。このことはテイラー展開(マクローリン展開)と同じである。
正方行列Aの関数
上の と同じように についてもベキ級数が定義できる。
F(P^-1 A P)
逆行列の定義できる 次正則行列 を用いて
の展開式から
ここで、 (単位行列) を用いて 乗の項を展開すると
となる。したがって、
exp(A) (指数関数形)
指数関数の展開
より、 とすればよい。
exp(A+B) (AB=BAのとき)
( の行列が交換する)とき
左辺は
また、右辺は
とおいて
より、
exp(A) exp(A^-1)
は と同じ 次の単位行列
証明:上の式で、 とすればよい。
F(A)のエルミート随伴: [F(A)]^†
は のエルミート随伴行列()で、 は
* は行列ではなく単なる複素数なので、 である。
導関数: F(xA)の微分
がベキ級数で表すことができるとき
のとき、
対角行列D
次正方行列 の非対角要素が のときを考える。対角行列であることをわかりやすくするため、 を (Diagonal matrix)とする。このとき、 成分を とする。
対角行列を と表すこともある。
F(D)=diag(f(dii))
対角行列 について、 は対角的で対角成分は となる。
の展開式から
ここで、
より、行列の対角成分について
これより、
Aを対角化して使う
の固有値を 、固有ベクトルを ( 次)とする。このとき、 次正則行列
によって を対角化することができる。これを
と書く()。このとき、上に示したいくつかの関係式を使って
などが成り立つ。たとえば、 について
など。