複素積分の応用問題を解く。 ここで学ぶことは、
- 留数定理の応用
- 実積分を複素積分で解く
である。
有名な問題としてを積分しよう。
例題
(1)
1. 複素積分に変換して解く
積分区間は![Rendered by QuickLaTeX.com 0\leq \theta \leq 2\pi](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-b32eeb26647299bb9383d678469e4770_l3.png)
とおく。このとき、
である。 を
で表すと、
(2)
cosやsinの実積分から複素積分へ
複素積分の変換により求めたい積分は、
![Rendered by QuickLaTeX.com f(z)](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-cc57be35e00b65ab29254484ae729a13_l3.png)
2. 極を求めて留数定理を用いる
分母がゼロになる特異点である極は2つある。それぞれ1位の極で、
(3)
複素関数
の1位の極
の留数
![Rendered by QuickLaTeX.com f(z)](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-cc57be35e00b65ab29254484ae729a13_l3.png)
![Rendered by QuickLaTeX.com z=z_0](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-c0d3c3c6f386feae5a992c7748011ca9_l3.png)
(i) の留数:
(ii) の留数:
留数がわかったので、留数定理により求めたい積分 を計算する。ただし、留数定理の適用は、極が積分領域
(複素平面上の単位円)の内側にある極についてのみ
として使えるのであった。(「コーシーの積分公式」を思い出してもらえればわかる。)
![Rendered by QuickLaTeX.com C](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-3e5bcfd6cd721b17fcfa23cd181260ff_l3.png)
![Rendered by QuickLaTeX.com a=0](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-ba1bac3491eb52ab24573e01ad1d5568_l3.png)
![Rendered by QuickLaTeX.com |a|=1](https://batapara.com/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-994581ba98fbfd2503218c03dcde967a_l3.png)
(I) のとき:
このとき、 であり、
の外にある。したがって、
の極についてのみ、留数定理を用いる。
(II) のとき:
このとき、 であり、
の外にある。したがって、
の極についてのみ、留数定理を用いる。
である。まとめて書くと、
3. まとめ
一般に、 の実積分を複素積分に変換するとうまく解けることがある。複素積分を計算する上で、留数定理が強力な武器になることも確認できたであろう。