【多変数関数】よくわかる包絡線/包絡線の求め方


 包絡線の求め方を例題を通して習得する。求め方は媒介変数を消去すればいいのだが、なぜだろうか。ここでは、包絡線について説明して、その求め方を解説していく。最後に例題の解答を行う。例題は以下の通り。

例題

以下の曲線群の包絡線を求めよう(a はパラメータ)。

    \begin{eqnarray*} &&(1)\quad y=(x-a)^2 + a\\ &&(2)\quad y^5 = a(x-a)^3 \end{eqnarray*}




1. 包絡線とは何か

 包絡線について簡単に説明する。

逆から考える

 包絡線を求めるとは、与えられた「曲線の集まり」に接する曲線を求めることである。 逆から考えると、包絡線の各点の接線は与えられた「曲線の集まり」になる。

 放物線を例にとって見てみる。放物線のある点での接線を求める問題は高校でよく習う。 下図の真ん中に、いろいろな点で接線を求めてみた場合を書いた。

 図の右のように、得られた接線の集まりから元の放物線を消し去ってみよう。 包絡線を求める問題は、 「元の放物線を取り戻す」 ことである。


いくつかの包絡線の例

 実際には、与えられる曲線群は接線とは限らない。ここでは例として、楕円群や放物線群の包絡線を下に示しておこう。


2. 包絡線の求め方

1本の接線が定まる条件と「特異点」

 与えられた曲線

    \begin{eqnarray*} f(x,y)=0 \end{eqnarray*}

について、ある点で1本の接線がある条件を考える。


この式を微分すると

    \begin{eqnarray*} df(x,y)=0\quad\Rightarrow\quad \frac{\partial f}{\partial x}dx+\frac{\partial f}{\partial y}dy=0 \end{eqnarray*}

である。したがって、f_y\equiv \frac{\partial f}{\partial y}\neq 0 のとき、

    \begin{eqnarray*} \frac{dy}{dx}=-\frac{f_x}{f_y} \end{eqnarray*}

の傾きを持った接線が存在する。また、f_y=0 であっても、f_x\neq 0 であれば、

    \begin{eqnarray*} \frac{dx}{dy}=-\frac{f_y}{f_x} \end{eqnarray*}

の接線が存在する。


したがって、1本の接線が定まらない条件(x,y)

    \begin{eqnarray*} f(x,y)=0,\quad f_x(x,y)=0, \quad f_y(x,y)=0 \end{eqnarray*}

となる点である。この点を特異点と呼ぶ。 つまり、特異点では接線が存在しない



曲線群の表し方と媒介変数(パラメータ)

例として楕円を考える。楕円

    \begin{eqnarray*} 4x^2+\frac{y^2}{4}=1 \end{eqnarray*}

は楕円群

    \begin{eqnarray*} ax^2+\frac{y^2}{a}=1 \end{eqnarray*}

の中に含まれている。つまり、a=4 のときの楕円である。

上の楕円を表す曲線を

    \begin{eqnarray*} f(x,y)=4x^2+\frac{y^2}{4}-1=0 \end{eqnarray*}

とすれば楕円群を表す式は

    \begin{eqnarray*} f(x,y,\textcolor{red}{a})=ax^2+\frac{y^2}{\textcolor{red}{a}}-1=0 \end{eqnarray*}

となる。曲線群は f(x,y,a)=0 で表すことができ、a を変えることによって色々な曲線を作ることができる。



包絡線を求めるための条件を考える。まず曲線群の中からa=t,\,u(\neq t) に対応する2つの曲線を考える。

    \begin{eqnarray*} f(x,y,t)=0,\quad f(x,y,u)=0 \end{eqnarray*}

2つの曲線の交点は

    \begin{eqnarray*} f(x,y,t)=f(x,y,u)=0 \end{eqnarray*}

である。


この式は t\neq u であるため、

    \begin{eqnarray*} f(x,y,t)-f(x,y,u)=0\quad\Leftrightarrow\quad \frac{f(x,y,t)-f(x,y,u)}{t-u}=0 \end{eqnarray*}

とかける。ここで、u\to t とする。つまり、一方の曲線の形をもう一方の曲線に限りなく近づける。

    \begin{eqnarray*} \lim_{u\to t}\frac{f(x,y,t)-f(x,y,u)}{t-u}=\frac{\partial f(x,y,t)}{\partial t}=0 \end{eqnarray*}

この条件は考えている2曲線に関する条件である (ちょっとズレた2曲線に接する曲線を求めるイメージ)。 実際には無数にある曲線に接する曲線(包絡線)を求めたい。 したがって、曲線群に対しては

    \begin{eqnarray*} \textcolor{red}{f_a(x,y,a)\equiv \frac{\partial f(x,y,a)}{\partial a}=0} \end{eqnarray*}

の条件を課す。


以上をまとめて

ポイント

    \begin{eqnarray*} \begin{cases} f(x,y,a)=0\\ f_a(x,y,a)=0 \end{cases} \end{eqnarray*}

から媒介変数(パラメータ) a を消去して、曲線群 f(x,y,a)=0 の包絡線を得る。



*見ての通り2条件ある。そのイメージを書いておく。 まず a を固定して、何かの曲線を考えよう。 1番目の式が「考えている a の曲線に接する(交点を持つ)」条件で、 2番目の式が、「考えている a の曲線とその隣の a+da の2曲線に接する」条件である。 実際には無数に a があるため、媒介変数としての a は消去される。


包絡線の求め方まとめ

解き方をまとめておこう。

曲線群の包絡線の求め方

    \begin{eqnarray*} \begin{cases} f(x,y,a)=0\\ f_a(x,y,a)=0 \end{cases} \end{eqnarray*}

から a を消去すると包絡線が求められる。 ただし、f(x,y,a)=0 の特異点の軌跡を除く。 ここで、特異点は以下の条件を満たす点である。

    \begin{eqnarray*} f(x,y)=0,\quad f_x(x,y)=0, \quad f_y(x,y)=0 \end{eqnarray*}


3. 例題の解答

(2)は特異点を除くことを忘れないように。


例題(1)の解答

与えられた曲線群:

    \begin{eqnarray*} y=(x-a)^2+a \end{eqnarray*}

これは放物線であるため特異点はない


f(x,y,a)=0 の形(条件1):

    \begin{eqnarray*} f(x,y,a)=(x-a)^2-y+a=0 \end{eqnarray*}


f_a(x,y,a)=0 の形(条件2):

    \begin{eqnarray*} &&f_a(x,y,a)=-2(x-a)+1=0\\\\ \Leftrightarrow \quad&& x-a=\frac{1}{2}\\\\ \Leftrightarrow \quad&& a=x-\frac{1}{2} \end{eqnarray*}


a を消去(条件1へ代入):

    \begin{eqnarray*} &&\left(-\frac{1}{2}\right)^2-y+\left(x-\frac{1}{2}\right)=0\\\\ \Leftrightarrow \quad&& y=x-\frac{1}{4}\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


*与えられた放物線群の一部と求めた包絡線 y=x-\frac{1}{4} を下図に示す。



例題(2)の解答

与えられた曲線群:

    \begin{eqnarray*} y^5 = a(x-a)^3 \end{eqnarray*}


f(x,y,a)=0 の形(条件1):

    \begin{eqnarray*} f(x,y,a)=a(x-a)^3-y^5 \end{eqnarray*}


f_a(x,y,a)=0 の形(条件2):

    \begin{eqnarray*} &&f_a(x,y,a)=(x-a)^3-3a(x-a)^2=0\\\\ \Leftrightarrow \quad&& (x-a)^2\left\{(x-a)-3a\right\}=0\\\\ \Leftrightarrow \quad&& \begin{cases} x-a=0\\ x-4a=0 \end{cases}\\\\ \Leftrightarrow \quad&& \begin{cases} a=x\\ a=\frac{x}{4} \end{cases} \end{eqnarray*}


a を消去(条件1へ代入): (i) a=x のとき、

    \begin{eqnarray*} &&y^5=x(x-x)^3=0\\\\ &&\therefore \quad y=0 \end{eqnarray*}

したがって、(x,y)=(a,0) となり、直線 x=a を得る。 ここで、

    \begin{eqnarray*} &&f_x(x,y,a)=3a(x-a)^2\\ &&f_y(x,y,a)=-5y^4 \end{eqnarray*}

より、(x,y)=(a,0)

    \begin{eqnarray*} f=0,\, f_x=0,\,f_y =0 \end{eqnarray*}

を満たす。つまり曲線群 f(x,y,a)特異点である。


(ii) a=\frac{x}{4} のとき、

    \begin{eqnarray*} y^5&=&\frac{x}{4}\left(x-\frac{x}{4}\right)^3\\\\ &=& \frac{27}{256}x^4\quad\blacksquare \end{eqnarray*}

これが求める曲線群の包絡線である。


*与えられた曲線群の一部と求めた包絡線 y^5=\frac{27}{256}x^4 を下図に示す。



4. まとめ

 包絡線の求め方は、媒介変数を消去するだけなので簡単である。 いろいろな例題を解いて、包絡線を求められるようにしておくとよい。



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