【微分方程式】ルジャンドル多項式の導出(ルジャンドルの微分方程式)


 ルジャンドル多項式

    \begin{eqnarray*} P_{\mu}(x)=\frac{(2n-1)(2n-3)\cdot\cdots\cdot 3\cdot1}{n!} \cdot\left\{ x^n-\frac{n(n-1)}{2(2n-1)}x^{n-2}+\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{2\cdot4\cdot (2n-1)(2n-3)}x^{n-4}+\cdots \right\} \end{eqnarray*}

は、ルジャンドルの微分方程式の2つ特殊解から作られる。 ルジャンドルの微分方程式は2階線形微分方程式で、

    \begin{eqnarray*} (1-x^2)y''-2xy'+\mu(\mu+1)y=0 \end{eqnarray*}

で与えられる。 そのことを詳しく見ていき、ルジャンドル多項式を導出する。 ここでは物理の話は一切なく、黙々と多項式を導出する。





0. ルジャンドルの微分方程式の特殊解

 計算の詳細は「ルジャンドルの微分方程式/級数解による解法」に書いた。ここでは簡単に結果だけまとめておこう。


 ルジャンドルの微分方程式は

    \begin{eqnarray*} (1-x^2)y''-2xy'+\mu(\mu+1)y=0 \end{eqnarray*}

で与えられる2階線形微分方程式である。 x=0 まわりの級数解

    \begin{eqnarray*} y=\sum_{n=0}^\infty C_n x^n \end{eqnarray*}

と置いて、微分方程式へ代入する。 そうすると C_n の漸化式

    \begin{eqnarray*} C_{n+2}=-\frac{(\mu-n)(\mu+n+1)}{(n+1)(n+2)}C_{n} \end{eqnarray*}

が得られる。この漸化式は1個おきの係数の関係を表しているため、C_0,C_1 の任意性がある。


  • (i) C_0=1,\;C_1=0
  • (ii) C_0=0,\;C_1=1

の2つの場合を考えて、級数解を求めることができる。 つまり、(i)に対する特殊解 y_1(x) と (ii)に対する特殊解 y_2(x) を得る。


ポイント



    \begin{eqnarray*} y_1&=&1-\frac{\mu(\mu+1)}{2!}x^2 +\frac{\mu(\mu-2)(\mu+1)(\mu+3)}{4!}x^4-\cdots\\\\ y_2&=&x-\frac{(\mu-1)(\mu+2)}{3!}x^3 + \frac{(\mu-1)(\mu-3)(\mu+2)(\mu+4)}{5!}-\cdots \end{eqnarray*}





 また、ルジャンドルの微分方程式の一般解は上記の2つの特殊解の線型結合で表すことができる^{[*]}

    \begin{eqnarray*} y(x)=c_1 y_1(x)+c_2 y_2(x)\quad\blacksquare \end{eqnarray*}

ここで、c_1,c_2 は定数である。



1. ルジャンドル多項式の導出

 上のルジャンドルの微分方程式の2つの特殊解からルジャンドル多項式を導出していく。

2つの特殊解の係数Cnの特徴

 2つの特殊解は

    \begin{eqnarray*} y_1(x)&=&\sum_{m=0}^\infty C_{2m} x^{2m}\\ y_2(x)&=&\sum_{m=0}^\infty C_{2m+1} x^{2m+1} \end{eqnarray*}

の形をしている。 これらの展開係数 C_n の特徴をまとめておこう。



1つの特殊解 y_1(x) に対して

    \begin{eqnarray*} C_{2m}&=&(-1)^m\,\frac{\mu(\mu-2)\cdot\cdots\cdot(\mu-2m+2) (\mu+1)(\mu+3)\cdot\cdots\cdot(\mu+2m-1)}{(2m)!}\quad \cdots(1) \end{eqnarray*}

である。ただし、C_0=1 である。

 漸化式の形から、C_{2m} があるところで0であるなら、それ以降の項は0である。たとえば、C_{10}=0 とすれば、漸化式より C_{12}=C_{14}=\cdots=0 となる。ドミノ倒しが途中で終了してしまう様子に似ている。重要なのは「どのような場合にどの項が0になるか」である。

 つまり、上の係数(1)の分子が0になる場合を調べる。たとえば、\mu=0 のとき、C_0=1 であるが、

    \begin{eqnarray*} C_2=-\frac{\textcolor{red}{\mu}(\mu+1)}{2}C_0=\textcolor{red}{0} \end{eqnarray*}

となり、C_4=C_6=\cdots=0 となる。したがって、\mu=0 のときの特殊解 y_1

    \begin{eqnarray*} y_1(x)=1 \end{eqnarray*}

となる。



 次に \mu=2 のときを考える。

    \begin{eqnarray*} C_2&=&-\frac{\mu(\mu+1)}{2\cdot1}=-3\\ C_4&=&\frac{\mu(\textcolor{red}{\mu-2})(\mu+1)(\mu+3)}{4!}=\textcolor{red}{0}\\ C_6&=&C_8=\cdots=0 \end{eqnarray*}

となる。よって、特殊解は

    \begin{eqnarray*} y_1(x)=1-3x^2 \end{eqnarray*}

となる。


次に \mu=4 のときも考えておこう。

    \begin{eqnarray*} C_2&=&-\frac{\mu(\mu+1)}{2\cdot1}=-10\\ C_4&=&\frac{\mu(\mu-2)(\mu+1)(\mu+3)}{4!}=\frac{35}{3}\\ C_6&=&\frac{\mu(\mu-2)(\textcolor{red}{\mu-4})(\mu+1)(\mu+3)(\mu+5)}{4!}=\textcolor{red}{0}\\ C_8&=&C_{10}=\cdots=0 \end{eqnarray*}

となる。よって、特殊解は

    \begin{eqnarray*} y_1(x)=1-10x^2+\frac{35}{3}x^4 \end{eqnarray*}

となる。



 以上より、\mu が0以上の偶数のとき、特殊解 y_1(x)\mu 次の多項式となる。



もう1つの特殊解 y_2(x) に対して

 こちらも同様に計算できる。係数は

    \begin{eqnarray*} C_{2m}&=&(-1)^m\,\frac{\mu(\mu-2)\cdot\cdots\cdot(\mu-2m+2) (\mu+1)(\mu+3)\cdot\cdots\cdot(\mu+2m-1)}{(2m)!} \end{eqnarray*}

であった。ここで、C_1=1 である。


\mu=1 のとき:

    \begin{eqnarray*} C_3&=&-\frac{(\textcolor{red}{\mu-1})(\mu+2)}{3\cdot 2}=\textcolor{red}{0}\\ C_5&=&C_7=\cdots = 0 \end{eqnarray*}

となる。よって、特殊解は

    \begin{eqnarray*} y_2(x)=x \end{eqnarray*}

となる。


次に \mu=3 のとき:

    \begin{eqnarray*} C_3&=&-\frac{\mu-1)(\mu+2)}{3!}=-\frac{5}{3}\\ C_5&=&\frac{(\mu-1)(\textcolor{red}{\mu-3})(\mu+2)(\mu+4)}{5!}=\textcolor{red}{0}\\ C_7&=&C_9=\cdots=0 \end{eqnarray*}

となる。よって、特殊解は

    \begin{eqnarray*} y_2(x)=x-\frac{5}{3}x^3 \end{eqnarray*}

となる。


同様にして \mu=5 のときの特殊解

    \begin{eqnarray*} y_2(x)=x-\frac{14}{3}x^3+\frac{21}{5}x^5 \end{eqnarray*}

となる。


 以上より、\mu が正の奇数のとき、特殊解 y_2(x)\mu 次の多項式となる。



0以上の整数μに対する2つ特殊解

以上の結果をまとめておく。

\mu特殊解の形(多項式)
0y_1(x)=1
1y_2(x)=x
2y_1(x)=1-3x^2
3y_2(x)=x-\frac{5}{3}x^3
4y_1(x)=1-10x^2+\frac{35}{3}x^4
5y_2(x)=x-\frac{14}{3}x^3+\frac{21}{5}x^5

 この表から分かる通り、0以上の整数 \mu に対して表の右の多項式を対応させることができる。 つまり、\mu を決めれば多項式の形が決まる

 また、この多項式はもともとのルジャンドルの微分方程式の特殊解であった。 したがって y_1,y_2 を定数倍したものも、また微分方程式の解となる(一般解の形が y=c_1y_1+c_2y_2 であるため)。


 ルジャンドル多項式 P_{\mu}(x) は、x=1 のときに多項式の値が1になるように y_1y_2)を定数倍したもので定義される。つまり、上記の表の多項式をそれぞれ y_1(1)y_2(1))の値で割ったものがルジャンドル多項式である。

 \mu の値を決めればルジャンドル多項式の形が決まる。つまり、P_\mu(x=1)=1 を満たす条件のもと、上の表と同じようなものができる。

\muルジャンドル多項式 P_\mu(x)
01
1x
2-\frac{1}{2}(1-3x^2)
3-\frac{3}{2}\left(x-\frac{5}{3}x^3\right)
4\frac{3}{8}\left(1-10x^2+\frac{35}{3}x^4\right)
5\frac{15}{8}\left(x-\frac{14}{3}x^3+\frac{21}{5}x^5\right)

 再度説明すると、もともとがルジャンドル多項式は、ルジャンドルの微分方程式を満たす特殊解の定数倍で作られた。したがって、上のルジャンドル多項式は対応する \mu の値に対するルジャンドルの微分方程式を満たす解である。



ルジャンドル多項式の形

 ルジャンドル多項式のはじめの項を少し変形してみよう。

    \begin{eqnarray*} P_0(x)&=&1\\\\ P_1(x)&=&x\\\\ P_2(x)&=&-\frac{1}{2}\left(1-3x^2\right)\\ &=&\frac{3x^2-1}{2}\\ &=&\frac{3\cdot 1}{2\cdot 1}\left(x^2-\frac{2\cdot 1}{2\cdot 3}\right)\\\\ P_3(x)&=&-\frac{3}{2}\left(x-\frac{5}{3}x^3\right)\\ &=&\frac{5x^3-3x}{2}\\ &=&\frac{5\cdot 3 \cdot 1}{3!}\left(x^3 -\frac{3\cdot 2 }{2\cdot 5}x\right)\\\\ P_4(x)&=&\frac{3}{8}\left(1-10x^2+\frac{35}{2}x^4\right)\\ &=&\frac{7\cdot 5\cdot 3\cdot 1}{4!}\left( x^4 -\frac{4\cdot 3}{2\cdot 7}x^2 +\frac{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}{2\cdot 4\cdot 7\cdot 5} \right) \end{eqnarray*}


 これより、一般的なルジャンドル多項式の形がわかる。

    \begin{eqnarray*} P_{n}(x)=\frac{(2n-1)(2n-3)\cdot\cdots\cdot 3\cdot1}{n!} \cdot\left\{ x^n-\frac{n(n-1)}{2(2n-1)}x^{n-2}+\frac{n(n-1)(n-2)(n-3)}{2\cdot4\cdot (2n-1)(2n-3)}x^{n-4}+\cdots \right\} \end{eqnarray*}

n 次の多項式になる。



2. まとめ

 ルジャンドル多項式の導出をおこなった。時々 物理学で出てくるが、忘れたら覚えなおせば良い。

 夏休みの宿題で、「ルジャンドル多項式の導出」や「ルジャンドル多項式で読書感想文」などが出たときに再度このページで学んでもらいたいと思う。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です