逆格子空間でのΣを積分 Ω/(2π)^3 ∫ で置き換える話


 逆格子空間での \sum_{\bf k} は積分で置き換えた方が解析的に計算しやすいときがある。よく見る下の置き換えを証明して、わかりやすく説明する。

和を積分で置き換える

    \begin{eqnarray*} \sum_{\bf k}\to \frac{\Omega}{(2\pi)^3}\int \,d{\bf k} \end{eqnarray*}



1. 適用条件

 和を積分に置き換えて良いのは、逆格子点の間隔が小さいときである。逆格子点の間隔は周期境界条件が与えられているとき、\frac{2\pi}{L} である。

系のサイズ L が非常に大きいときは、離散的な逆格子点を連続とみなしてよく、\sum_k を積分で置き換えることができる。



2. 和を積分で書き換える

2.1 逆格子点1個の占める体積

 図の(a)に示すように逆格子点の間隔は \frac{2\pi}{L} であった。

注意:\frac{\pi}{a} 単位のブリルアンゾーンと混同してはならない。この k 点は1stブリルアンゾーン内にある k 点である。ざっくり言うと、周期境界条件によって1stBZ内に間隔 \frac{2\pi}{L}k 点のメッシュができる。

 図(b)は逆格子点1個が占める体積を表している。k 点の間隔が \frac{2\pi}{L} であるため、図(c) のように体積は \left(\frac{2\pi}{L}\right)^3 である。



2.2 逆格子空間内の体積を2通りで表す

 適当な立方体の体積 Vで表す。図左のように27個(k_x-k_y平面(k_z=0)で9個)の格子点が含まれる立方体を考える。

 逆格子点1個あたりの体積が \left(\frac{2\pi}{L}\right)^3 であったため、体積 V はその体積に逆格子点の数(例では27個)をかければよい。

    \begin{eqnarray*} \left(\frac{2\pi}{L}\right)^3\cdot \sum_{\bf k} \end{eqnarray*}

 一方で体積 \Omega は図の右のように3重積分で表すことができる。

    \begin{eqnarray*} \int \,d{\bf k}\equiv \int\int\int \,dk_x\, dk_y \, dk_z  \end{eqnarray*}

これらは同じ体積であるために、\sum \to \int の関係が求められる。

和を積分で置き換える

    \begin{eqnarray*} \sum_{\bf k}\to \frac{V}{(2\pi)^3}\int \,d{\bf k} \end{eqnarray*}

であり、\Omega=L^3 とした。



3. まとめ

 教科書によっては「和を積分で置き換える」だけ書いてあったりして初学者は戸惑うかもしれない。誰も教えてくれなかったりもするため、ここにその求め方だけ残しておこう。




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