理工学系の大学生を対象におすすめの問題集を紹介する。複素関数は線形代数・微積分を主な土台とした学問である。ここでは、基礎から応用までおすすめの参考書・問題集・教科書を紹介する。
複素関数は多くの大学院試験の出題範囲になるために習得しておくべきである。
実数で解くことが難しい積分の問題を、複素積分で簡単に解けてしまうこともある。物理学・工学分野における基礎・応用の両面でよく出てくるので使えるようにしておきたい。理工学系学生にとって必須である。
1. 複素関数とは
実関数の変数 を 複素数 に拡張して新たに、複素関数として を定義する。実関数で学んだことが生かせる時もあるが、複素関数にしかない新たな性質を学ぶこともある。
2. 参考書・問題集
学習のポイントは、ステップアップである。いきなり難しい問題集や教科書に取り組むと挫折するので、簡単な参考書あたりから学んでいくのがよいでしょう。
定期試験対策であれば、それぞれの授業のプリントや指定の教科書を用意して演習するのが望まれる。しかし、時に独学で学習したほうがわかりやすい場合もある(問題演習したほうが記憶には残りやすい)。
2.1 やわらかめの本、初めの1冊に
一番オススメ。学生の視点に立った参考書で、厳密さこそ欠けるものの直感的に理解することができる。各章ごとに問題がついており定着度の確認が可能である。また、問題の解説は丁寧に書かれているところが良い。解法のテクニックやコツも載っていて有用である。
定番のマセマである。学部1〜3回生の学生が取り組むのに良い。また、院試対策する場合にも使うので持っておくとよい。問題を解きながら進められるので解法も定着する。
2.2 問題をたくさん解きたい方に
複素関数を一通り学習した方が、ガツガツ解くことで複素関数の分野を定着させるための問題集。前半が複素関数で後半が微分方程式に分かれている。私は3周くらいした好きなシリーズ。高校数学のように問題が多く載っている問題集が少ない中、この問題集は問題数が豊富なので重宝する。
2.3 応用を意識した工学系の方に
直感的に理解しやすいシリーズのひとつ。特に工学系の方におすすめで、なぜ複素関数が使うかがわかる。応用面で優れている本である。同じシーリズの『道具としてのフーリエ解析』もオススメする。
本当に「なっとく」できる。理工学系にとってはこのシリーズは良書である。
「物理学」を捉えるという点で書かれた複素関数の本。応用を見越して書かれているので、物理系の人にとっては良書となる。複素平面を導入することで物理学がよりわかるようになるだろう。
2.4 院試対策の方に
以下の 2.1 の入門書 (と余力があれば 2.2 の問題集)を仕上げ、各大学の過去問に取り掛かるのがよい。
- 『複素関数を学ぶ人のために』
- 『複素関数キャンパス・ゼミ』(マセマ)
- 『弱点克服 大学生の複素関数/微分方程式』
大学院を外部受験される方は、志望大学院の過去問題を入手するのが先決である。また、以下に紹介する過去問集で様々な大学院院試の問題に触れるのが良い。
複素関数以外も微積分、線形代数、確率・統計とほぼ全範囲おさえられた過去問題集である。問題数も非常に豊富である。
2.5 その他
『高校数学でわかる〇〇』の最新版。読みモノとして活用できそうである。
3. まとめ
基本的には 2.1 に挙げたような薄い本から始めるのが良い。理工学系以外、あるいはガチで複素関数を学びたい方は、権威のある不朽の教科書で勉強するべきであろう。
物理学を学び始めると、複素関数が優れた武器になっていることに気づくであろう。