【複素積分】「sin(z)/z」「e^z/z」「1/z^3」のローラン展開/ 複素積分


 例題として、以下の3問を見ていく。ローラン展開→複素積分の流れで計算した。したがって、複素積分の計算に「留数定理」は使わなかった。参考:「例題で学ぶ:ローラン展開/極/留数定理」 (読了目安:30分)

例題

Cを|z|=1上を反時計回りに一周する積分経路とする。以下の積分を求めよ。

    \begin{eqnarray*} &&(1)\quad\oint_C \frac{\sin z}{z} dz\\\\ &&(2)\quad\oint_C \frac{e^z}{z}dz\\\\ &&(3)\quad\oint_C \frac{1}{z^3}dz \end{eqnarray*}





1. 方針


1/z^n の複素積分

    \begin{eqnarray*} \oint_C \frac{dz}{z^n}= \begin{cases} 2\pi i \quad(n=1)\\ 0\quad(n\neq 1) \end{cases} \end{eqnarray*}



2. 解答

(1) f(z)=sin(z)/z

この関数の特異点は z=0 である。

z=0 中心にローラン展開:

    \begin{eqnarray*} f(z)&=&\frac{1}{z}\sin z\\\\ &=&\frac{1}{z}\left[ z-\frac{z^3}{3!}+\frac{z^5}{5!}+\cdots \right]\\\ &=& 1-\frac{z^2}{3!}+\frac{z^4}{5!}+\cdots \end{eqnarray*}

となる。この場合、z=0除去可能な特異点である。よって、f(z)=\frac{\sin z}{z} の極はない。言い換えると、留数 (1/z の係数)がゼロ。したがって、

    \begin{eqnarray*} \oint_{|z|=1}\frac{\sin z}{z}\,dz=0\quad\blacksquare \end{eqnarray*}


あるいは、f(z) をローラン展開した各項について

    \begin{eqnarray*} \oint_C z^n \,dz=0 \quad(n=0,1,2,3,...) \end{eqnarray*}

であることを利用しても良い(「1. 方針」参考)。




(2) f(z)=exp(z)/z

この関数の特異点は z=0 である。

z=0 中心にローラン展開:

    \begin{eqnarray*} f(z)&=&\frac{1}{z}e^{z}\\\\ &=& \frac{1}{z}\left[1+z+\frac{1}{2!}z^2+\frac{1}{3!}z^3+\cdots\right]\\\\ &=& \textcolor{red}{\frac{1}{z}}+1+\frac{1}{2!}z+\frac{1}{3!}z^2+\cdots \end{eqnarray*}

となる。したがって、1位の極をもつ。留数は \frac{1}{z} の係数である 1 である。留数定理より、

    \begin{eqnarray*} \quad\oint_C \frac{e^z}{z}dz=2\pi i \cdot 1 =2\pi i\quad\blacksquare \end{eqnarray*}

あるいは、f(z) をローラン展開した結果と

    \begin{eqnarray*} \oint_C \frac{dz}{z}=2\pi i \end{eqnarray*}

を利用して直接積分しても同じ結果を得る。




(3) f(z)=1/z^3

1/z^nの複素積分と同じである。答えは 0 になる。\blacksquare

    \begin{eqnarray*} f(z)=\frac{1}{z^3} \end{eqnarray*}

は特異点 z=0 をもつ。これは3位の極である。留数は 0 である。これは f(z) をローラン展開して \frac{1}{z} の係数を見ればわかる。

f(z)=1/z^3z=0 まわりのローラン展開:

    \begin{eqnarray*} f(z)&=&\frac{1}{z^3}\\\\ \cdots +\frac{0}{z^4}+\frac{1}{z^3}+\frac{0}{z^2}+\frac{\textcolor{red}{0}}{z^1}+0+ 0\cdot z + 0\cdot z^2 + 0\cdot z^3 +\cdots \end{eqnarray*}

より留数は 0 である!したがって、留数定理より

    \begin{eqnarray*} \oint_C \frac{1}{z^3}\,dz=2\pi i \cdot 0 = 0\quad\blacksquare \end{eqnarray*}

あるいは、

    \begin{eqnarray*} \oint_C z^n \,dz=0 \quad(n=1,2,3,...) \end{eqnarray*}

としてもよい。




3. まとめ

 ローラン展開→複素積分を求めてきた。あるいは留数定理でも求めることができる。好きなやり方でやるのがよい。ただ、留数定理を使いすぎると、2\pi i がどっからきた?ってなるかもしれない。




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