二項定理を利用してΣを使わない形にする例題


二項定理

    \begin{eqnarray*}(a+b)^n &=& C_n^0 a^0 b^n + C_n^1 a^1 b^{n-1}+C_n^2 a^2 b^{n-2}+\cdots +C_n^n a^n b^0\\ \\  &=&\sum_{k=0}^{n} C_n^k a^k b^{n-k} \end{eqnarray*}

 ここで、組み合わせ C_{n}^{k}=_nC_k としている。上の二項定理を使えば和 \sum(\quad)^* の形に表すことができる。これを利用したさまざまな問題があるので、ここでは解き方とともに紹介する。

二項定理を使ったいくつかの例題

次の式を和を用いない形に表せ。(n は自然数)

    \begin{eqnarray*} &&(1)\;\sum_{k=0}^{n} C_n^k \\ &&(2)\;\sum_{k=0}^{n} 3^k C_n^k \\ &&(3)\;\sum_{k=0}^{n} (-1)^k C_n^k\\ &&(4)\;\sum_{k=0}^{n} k_n C_n^k \\  &&(5)\;\sum_{k=0}^{n} k^2 C_n^k \\ &&(6)\;\sum_{k=0}^{n} k^3 C_n^k \end{eqnarray*}



1. 解答

 方針:二項定理の a,b を何にすれば良いか考える。

(1)の解答

 【解答】 a=1,b=1 と置けば良い。

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} C_n^k =2^n \quad \blacksquare \end{eqnarray*}


(2)の解答

 【解答】 a=3,b=1 と置けば良い。(b^{n-k}=1)

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} 3^k C_n^k = (3+1)^n = 4^n \quad \blacksquare \end{eqnarray*}


(3)の解答

 【解答】 a=1,b=-1 と置けば良い。

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} C_n^k =(1-1)^n = 0 \quad \blacksquare \end{eqnarray*}


(4) の解答

【解答】a=x,b=1 と置く。このとき、

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} C_n^k x^{k} = (1+x)^n \end{eqnarray*}

両辺を x で微分して(1\leq n)、

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=1}^{n} k C_n^k x^{k} &=& n(1+x)^{n-1}\\ \Leftrightarrow \sum_{k=0}^{n} k C_n^k x^{k-1} &=& n\,(1+x)^{n-1}\\ (\because 0\cdot C_n^0 &=& 0) \end{eqnarray*}

左辺の \sum_{k=0}^{n} k C_n^k を利用するために、x=1 と置くと、

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} k C_n^k = n\,2^{n-1} \quad \blacksquare \end{eqnarray*}

途中にできてきた (1+x)^n を微分して使う方法は覚えておくと良い。

ポイント

二項定理の公式において a=x,b=1 と置いた

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} C_n^k x^{k} &=& (1+x)^n \end{eqnarray*}

の両辺を x で微分して、

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} k C_n^k x^{k-1} &=& n\,(1+x)^{n-1} \quad \cdots (*)\\  \end{eqnarray*}


(5) の解答

【解答】式 (*) をさらに x で微分して(2\leq n)、

    \begin{eqnarray*} \frac{d}{dx}\left[\sum_{k=0}^{n} k C_n^k x^{k-1}\right] &=& \frac{d}{dx}\left[n\,(1+x)^{n-1}\right]\\ \\ \Leftrightarrow \sum_{k=0}^{n} k(k-1) C_n^k x^{k-2} &=& n(n-1)\,(1+x)^{n-2} \quad \cdots (*)' \end{eqnarray*}

となる。x=1 を代入して、

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} k(k-1) C_n^k = n(n-1)\,2^{n-2} \quad \blacksquare \end{eqnarray*}

n=1 も含めた答えになる。

【補足】

 右辺を展開して、(4)の結果を用いると以下の式を得る。

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} k(k-1) C_n^k x^{k-2} &=& n^2\,(1+x)^{n-2} -n^2\,(1+x)^{n-2} \\ \\ \sum_{k=0}^{n} k(k-1) C_n^k x^{k-2} &=& n^2\,(1+x)^{n-2} - \sum_{k=0}^{n} k C_n^k x^{k-1} \\ \\ \sum_{k=0}^{n} k(k-1) C_n^k x^{k-2}   + \sum_{k=0}^{n} k C_n^k x^{k-1} &=& n^2\,(1+x)^{n-2}\\ \\ \end{eqnarray*}


(6) の解答

【解答】(5)と同じように、式(*)’ を微分する

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} k(k-1)(k-3) C_n^k x^{k-3} &=& n(n-1)(n-2)\,(1+x)^{n-3} \end{eqnarray*}

x=1 を代入して、

    \begin{eqnarray*} \sum_{k=0}^{n} k(k-1)(k-2) C_n^k = n(n-1)(n-2)\,2^{n-3} \quad \blacksquare \end{eqnarray*}


k^4 のとき(\sum_{k} k^4 C_n^k )以上の場合でも同様にして微分していけば計算できる。ただし、n の範囲は注意する。

2. まとめ

 二項定理を使った計算をまとめた。ここにある例題は基本的に以下の2つの方針で計算することができる。

  • a,b の値を決める
  • a=x,b=1 の二項展開に対して微分をうまく使う

よくある二項定理の計算だが忘れがちなので確認しておきたい。




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