などの交換関係をまとめた。計算に必要なポイントは以下の通り。
- 古典力学での角運動量 の形を使う
- 量子力学では に注意
- 交換関係 を利用( 導出 )
目次
1. 演算子の定義
lx, ly, lz の定義
量子力学で運動量演算子 を定義する。古典力学からの類推から、
を使う。量子力学では、位置演算子と運動量演算子は
である(表示)。
の定義:
l^2 の定義
角運動量の大きさを表す演算子 を定義する。
昇降演算子 l+, l- の定義
は角運動量を +1 したり-1 したりする。
2. 交換関係(計算)
[ lx, ly ], [ ly, lz ], [ lz, lx ]
と の交換関係を調べる。
・ について:
赤色は注意すべき点。これは適当な関数 を用意してみればわかる。以下のように計算して、 の係数を比べれば良い。
・ について:
以上の結果から、
も同様に計算できる。
[ l^2, lz ]
と の交換関係を計算する。
について:
について:
したがって、
についても同様に計算できる。
[ l^2, lz ]=0 の意味
この結果から、 と は同時固有状態をもつ。したがって、方位量子数方位量子数 と磁気量子数 によって状態を表すことができる。そういうわけで、球面調和関数 などで状態を表すことができる。
は の 成分である。ここで、 より、 の 成分も決定できそうに見える。つまり、 で指定した状態として を考えた代わりに、 とできるかどうかである。
しかし、それは許されない。なぜなら、
によって、 の 成分と 成分は同時に決定できない!
の 成分のうち1つを決定してしまえば、他の2成分については決定できないのである。量子力学では慣例として、 の 成分を として扱っている。
と の 成分() を決めると、 という下の状態が与えられる。 の 成分は決定できないため、赤いベクトルはぐるぐる回る。
3. l^2 を昇降演算子で表す
について:
について:
以上より、
これより、 を 昇降演算子によって表すことができる。
4. まとめ
簡単に結果をまとめておく
軌道角運動量演算子の話は、同時固有状態のことに触れないとおもしろくないと思います。あと球面調和関数に作用させたときの話もここではしなかった。単なる計算まとめみたいになっている。