半導体の電気伝導度σの温度依存性(計算)


半導体は金属と異なる電気伝導性を示す。ここでは温度によって半導体の電気伝導度がどのように変わるか与えられた式で、計算してみようと思う。よく知られているように、半導体の電気伝導度\sigmaは半導体のエネルギーギャップ E_g をによって与えられる。

半導体の電気伝導度の温度依存性

    \begin{eqnarray*}\sigma=\sigma_0 \exp(-\frac{E_g}{2k_B T}) \quad \cdots (*)\end{eqnarray*}


ここで、k_Bはボルツマン定数 1.38064852\times10^{-23} [J/K]である。普通、E_gの単位は[eV]で与えられるので、ここでは[J/K]単位のk_Bを電気素量e=1.602176634\times10^{-19}で除した、[eV/K]の単位で表したボルツマン定数k_Bを用いるのが良い。

    \begin{eqnarray*} k_B &=& \frac{1.38064852\times10^{-23} [{\rm J/K}]}{1.602176634\times10^{-19}}\\ \\&\sim& 8.6171\times10^{-5} [{\rm eV/K}] \end{eqnarray*}

 式(*)は両辺の自然対数を取ると、

    \begin{eqnarray*} {\rm ln}(\sigma)&=&{\rm ln}\left[\sigma_0 \exp(-\frac{E_g}{k_B T})\right]\\ &=& {\rm ln}\sigma_0-\frac{E_g}{2k_B T} \cdots (1) \end{eqnarray*}

となる。実験的に測定できるのは温度Tと電気伝導度\sigmaであり、(1)における未知数は\sigma_0E_gの2つである。

たとえば、2つの温度で測定した結果が、温度T_1において\sigma_1、温度T_2において\sigma_2であったとする。そのとき式(1)は、

    \begin{eqnarray*} {\rm ln}(\sigma_1)&=& {\rm ln}(\sigma_0)-\frac{E_g}{2k_B T_1} \cdots (2)\\ {\rm ln}(\sigma_2)&=& {\rm ln}(\sigma_0)-\frac{E_g}{2k_B T_2} \cdots (3) \end{eqnarray*}

の2つの連立方程式になる。式(3)-式(2)をすると{\rm \sigma_0}が消えて、

    \begin{eqnarray*} {\rm ln}(\sigma_2)-{\rm ln}(\sigma_1)&=& -\frac{E_g}{2k_B T_2}+\frac{E_g}{2k_B T_1} \\ &=&\frac{E_g}{2k_B}\left[ \frac{1}{T_1} - \frac{1}{T_2} \right]\\ &=&\frac{E_g}{2k_B}\left[ \frac{T_2-T_1}{T_1 T_2} \right] \cdots (4) \end{eqnarray*}

となる。式(4)を用いることで2つの結果からE_gの値を計算することができる。E_gが求まれば、式(2)か式(3)へE_gを代入することで、\sigma_0を得る。式(4)をもう少し計算して、

    \begin{eqnarray*} E_g=\frac{2k_B T_1 T_2}{T_2 - T_1}\Bigl[ {\rm ln}(\sigma_2)-{\rm ln}(\sigma_1) \Bigr] \end{eqnarray*}

を式(2)へ代入して、

    \begin{eqnarray*} {\rm ln}(\sigma_1)&=& {\rm ln}(\sigma_0)-\frac{1}{2k_B T_1} \frac{2k_B T_1 T_2}{T_2 - T_1}\Bigl[ {\rm ln}(\sigma_2)-{\rm ln}(\sigma_1) \Bigr]\\ &=&{\rm ln}(\sigma_0) - \frac{T_2}{T_2 - T_1}\Bigl[ {\rm ln}(\sigma_2)-{\rm ln}(\sigma_1) \Bigr]\\ \leftrightarrow {\rm ln}(\sigma_0) &=& {\rm ln}(\sigma_1) + \frac{T_2}{T_2 - T_1}\Bigl[ {\rm ln}(\sigma_2)-{\rm ln}(\sigma_1) \Bigr]\\ &=& \frac{T_2 {\rm ln}(\sigma_2) -T_1 {\rm ln}(\sigma_1)}{T_2 - T_1} \end{eqnarray*}

である。2つの結果をまとめておく。

    \begin{eqnarray*} E_g&=&\frac{2k_B T_1 T_2}{T_2 - T_1}\Bigl[ {\rm ln}(\sigma_2)-{\rm ln}(\sigma_1) \Bigr]\\ \\{\rm ln}(\sigma_0)&=& \frac{T_2 {\rm ln}(\sigma_2) -T_1 {\rm ln}(\sigma_1)}{T_2 - T_1} \end{eqnarray*}

実際の実験では2回の測定で物性値を得るなんてことはない。計算式としてバンドギャップや電気伝導度になれるために上記の計算を行うことがある。


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